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ホールとオーケストラの関係について

ホールとオーケストラの関係について

「ホールは楽器である!」
と、よく言われるが、この言葉の意味を、私はこの時初めて思い知った。

今から20年以上も前の1993年5月ウィーンでのことである。

音楽ファンにとっては、文字どおり「夢の競演」がこの週末に繰り広げられたことがある。ウィーンフィルの、いわゆる定期演奏会は毎月一回、週末土曜日午後と日曜日午前に行われるマチネー演奏会である。

これと同日の夜に、アバドとベルリンフィルがウィーンにやってきて演奏会を開いたことがあったのだ。
もちろんホールは、どちらもウィーン楽友協会大ホールである。

(写真1)

ウィーン楽友協会のホール(ムジークフェラインスザール)は、毎年お正月恒例のウィーンフィルによる「ニューイヤー・コンサート」で、お馴染みの世界でもっとも有名なコンサートホールといっても良い。

ことに、音響に関しては、世界でもっともすばらしい、という賛辞はいたるところで聞かれる、この「ホール中のホール」で、ヨーロッパ、いや、世界を代表する2大名門オーケストラが一日の間で競演をする!
これこそ、「夢の競演」という言葉がぴったりのビッグイベントである。

ウィーンフィルの指揮者は、その頃あたりから「幻の指揮者」と呼ばれたカルロス・クライバー(惜しくも2004年7月に亡くなってしまった)、かたや、ウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めて以来、久々ウィーン登場となったベルリンフィルの音楽監督(当時)であったアバドの両者は、もちろん、決して競い合っていたわけではないが、両オーケストラの集中力や観客のヴォルテージも極限まで達し、非常に白熱した演奏がホール内に一日中駆け巡っていたことは言うまでもないだろう。

(写真2)

しかし、ベルリンフィルの演奏には「?」がちょっと(ほんのちょっとではあるが)つけられた瞬間があった。
ベルリンのフィルハーモニーで録音されたレコードで聴ける重厚なハーモニーが時折、「少しうるさいかな?」と思うことがあるのだ。

ウィーンフィルの音色は、いつ聞いても優雅でチャーミングである。
フォルテシモであっても、少なくともムジークフェラインでは、音が割れたりはしない。それどころか、音量が、ホールの飽和状態になる寸前でコントロールされているように聞こえる。
このバランス感覚が、聞くものに最上のひとときを与えてくれるのだ。

(写真3)

それに比べると、ベルリンフィルは一寸分が悪い。
彼らの本拠地ベルリン・フィルハーモニーは楽友協会に比べ、ホールの容積も客席数もひとまわり大きく、残響感(残響時間という意味だけではなく)が少なめだ。

そのため、常にベルリンフィルは、ウィーンフィルに比べフォルテの時は、大きめの音量で演奏することを強いられている。それが響きの量の多い楽友協会では、フォルテシモになると、音が割れてしまう。(もちろん、彼らの本拠地であるフィルハーモニーホールでは絶対ありえないことだ。)

オケの鳴らし方、という点からは、この「ウィーン決戦?」は、楽友協会ホールの音響を隅々まで知り尽くしている、ホームのメリットが勝敗を決めてしまったのではないか。

アウェーの分が悪いのは、サッカーだけではないようだ!

(写真4)

ウィーンフィルのレコード録音会場としては、ホームが二箇所ある。
このムジークフェラインとゾフィエンザールである。
主に、前者はEMIとDGのメイン会場、そして、後者はDECCAの本拠地である。

どちらのホールも名演奏の宝庫であるが、ゾフィエンザールでのDECCA録音は、ウィーンフィルの音色の個性よりもDECCAの音、すなわちカルーショウをはじめとする、天才エンジニアの個性を強く感じる。

もちろん、これはこれですばらしい!いつ聞いても惚れ惚れする。
この話を始めると長くなってしまうので、DECCAのウィーン録音については、また、時を改めてお話したい。

(写真5)

楽友協会でのウィーンフィル名録音というと私個人としては、学生時代にオンタイムの新譜として聞いた1970年代の晩年のベームや若き日のアバドとの管弦楽曲や、グルダやポリーニらとの協奏曲のDG録音のLPがいまだに脳裏に焼きついて離れない。

1950年代後半〜60年代における、DECCAやEMIのステレオ黄金時代の録音に比べると、個性という点では分が悪いが、ウィーンフィルとムジークフェラインのすばらしい音響をこれほど忠実にとらえた録音も少ないと思う。1970年代はやはり、アナログ録音の完成期だったといってもよい。

ちょっと聞くと、物足りない、つまらない音に聞こえるかもしれないが、機器のグレードが上がり、チューニングも万全のシステムで聞くと、このうえないチャーミングなサウンドが、聴く者を幸せにする。そんなLPばかりなのだ。

私は、今もこれらのLPをシステム、そして私自身のリファレンスとしている。ベームやアバドが魅力的に聞こえない時は、システムのチューニングか自分自身の感性に「?」をつけることにしている。

クラシックのLPレコードを豊富に取り扱う【ベーレンプラッテ】は、DGG・DECCA・EMI・PHILIPSなど、ヨーロッパを中心に世界中の様々なレーベルの商品を販売しているクラシックLPの専門ショップです。当店では、盤質の良いオリジナル盤や再発売盤などを多数取り揃えており、当店の販売サイトでは各LPレコードの詳細情報(ジャケットやレーベルの画像や、コンディションなど)を豊富に記載しています。LPレコードを購入する際に迷われる場合は、お気軽にお問い合わせください。経験・知識の豊富なスタッフがお答えいたします。

LPレコードを通販でお探しなら【ベーレンプラッテ】

ショップ名 輸入クラシックLP専門店 ベーレンプラッテ
販売業者 ベーレンプラッテ
販売責任者 金子 学
住所 〒157-0066 東京都世田谷区成城8丁目4-21 成城クローチェ11号室
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新LP鑑定法 Columbia&EMI編(ステレオサウンド206)

新LP鑑定法 Columbia&EMI編(ステレオサウンド206)

以下は、ステレオサウンド誌206号の当店の広告ページ、「オーディオファイルのためのLPガイド」の原稿です。
今回は、英国の名門レーベル、ColumbiaとEMIのレーベルの見方について書きました。

● 英コロムビア ● 英EMI(HMV)

英コロムビア

コロムビア(Columbia)社のレコードで、最もオーディオファイルに人気があるのは、オットー・クレンペラーやアンドレ・クリュイタンス、ダヴィッド・オイストラフそしてレオニード・コーガンなどの名録音で非常に有名な、SAX(サックス)シリーズである。特に、スカイブルーの地にシルバーで文字が印刷され、格子模様が全体に入り、ラベルの全周を広い帯で囲んでいる「ブルー&シルバーレーベル(写真1)」は名盤のオンパレードである。

写真1

(写真1)

SAX2252から2539(ただし2526、2532から2534、2537の5枚は除く)までは、このレーベルデザインがオリジナルである。

そして先程の5枚とSAX2540以降のオリジナルレーベルデザインは、「ハーフ・ムーン(あるいはセミサークル)」と呼ばれるものである(写真2)。このデザインは、後述のEMI(HMV)のレイアウトに似ているが、レーベルのどこかに「Columbia」の文字が入っているため、簡単に見分けが付く。

写真2

(写真2)

後期のレーベルは、EMIの「スタンプニッパー」とほぼ同じであるが、ニッパー犬の代わりに音符が印刷されている。(写真3)

写真3

(写真3)

このレーベルの音質上の特色は、デッカの鮮烈なサウンドに比べ、聴く者を包み込むような音場感豊かな上品なサウンドといってよい。

英EMI(HMV)

蓄音機のラッパに耳を傾け、熱心に(?)音楽鑑賞をしている名犬「ニッパー」君で有名なEMI(HMV)にも、多くのセンターレーベルのヴァリエーションが存在する。

最も初期のレーベルは、白地に円形のラベルで蓄音機とニッパー君をあしらい、その下にスピンドル孔を横切る「STEREOPHONIC」の文字があり、金色で縁取りがされているデザインである。これを、私たちは、「ホワイト&ゴールド・ニッパー」と呼ぶ(写真4)。レコード番号で言えば、ASD251から575まであたりのLPはこのレーベルが、オリジナルである。

写真4

(写真4)

これ以降は、基本的には、赤の地に上半分の半円の中に蓄音機とニッパー君の絵が入り、半円の上部は「HIS MASTER’S VOICE」のロゴが印刷されたデザインになる。これを、「半円(セミサークル)ニッパー」と呼ぶ(写真5)。番号では、ASDの576あたりから2470までは、オリジナルであると考えられている。

写真5

(写真5)

今まで紹介した、DECCAやColumbiaも名演・名録音のオンパレードであったが、HMVもそれに勝るとも劣らない名盤がカタログを埋め尽くしている。中でも、シューリヒトのブルックナー、ケンペとバルビローリの一連の録音、そして、デュ・プレの名盤は、オーディオファイル・音楽ファンの憧れの的である。

特にASD429のモーツァルトとバッハのヴァイオリン協奏曲集(ジョコンダ・デ・ヴィートのヴァイオリン、ラファエル・クーベリックの指揮)はもしかしたら、クラシック音楽のすべてのLPの中でも、もっとも入手の難しいLPの一つかもしれない。(事実、私は、このLPについては、いまだかつて見たことも、聞いたこともないのだ。)

これ以降は、スタンプ(切手)ニッパーと呼ばれるレーベルデザインになる。これは、ニッパー君の部分が、四角い縁取りで囲まれ、ちょうど切手(スタンプ)のように見えるためである。これにも3つのヴァリエーションがある。ニッパー君の絵が、カラーかモノクロかの違いである。番号で見ると、ASD2470あたりから2750あたりまではカラー・ニッパー(写真6)がオリジナルで、これ以降は、モノクロのニッパーが初版ということになるらしい。(写真7)

写真6

(写真6)

写真7

(写真7)

また、ASD3800番台以降は再度カラースタンプとなるが、前者とは違い、レーベルの外周に白い縁取りがある。(写真8)。

写真8

(写真8)

そして、最終期のレーベル(ASD4000番台以降)は「新ニッパー」といわれる(写真9)デザインとなる。

写真9

(写真9)

この、ASDシリーズの半円ニッパーとスタンプ(カラー、モノクロ両方とも)ニッパーのLPは盤自体のクオリティがとても高く、ばらつきも少なく、優秀なプレス技術といえる。

  

LPレコードの専門店【ベーレンプラッテ】は、ColumbiaやEMI以外にも、 DGGやETERNAなど多数のレーベルを取り扱っています。ヨーロッパを中心にLPレコードを直接買い付け、洗浄後丁寧な梱包でお客様に商品をお届けします。コンディションの良いLPレコードを厳選し販売していますので、ぜひご利用ください。   

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ベーム晩年のライヴを聴く

ベーム晩年のライヴを聴く

今でも、日本のファンに圧倒的な支持を得ているオーストリアの指揮者、カール・ベームの晩年のライヴ録音がLP化されて、早速聞いてみた。

https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/WEITLP011.html https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/WEITLP013.html

ベームの日本での人気が最高潮に達したのは、1975・77年そして80年のウィーンフィルとの3回の来日公演の記事であることに異論を唱える人は、おそらくいないと思う。

私自身は、この時、NHK−FMの生放送を通じ、ウィーンフィルの「超」熱演ぶりや、NHKホールのお客さんのフィーバーぶりに、「エアチェック」をしながら圧倒されたのを昨日のことのように覚えている。

しかし、あのときのウィーンフォルの演奏はすごかった、まさに「爆艶」ということばがぴったりだと、後日LPやCDになったあの時の演奏を聴きながら思ったことがある。

さて、今回LP化された演奏もこの頃のものである。(1976年から80年の録音)

写真1

しかしながら、演奏内容は、あのウィーンフィルとのものとは、ちょっと違った印象を受ける。
もちろん、格調高く厳格なスタイルは変わりはないが、よりリラックスした、「普段着」のベーム演奏が聴ける。

その理由ははっきりしないが、普段指揮しないケルン放送交響楽団や、収録会場(ほとんどが、残響豊かなヴッパータルのシュタットハレ…私も何回か訪れたことがある)のためだろう。

ケルン放送交響楽団の演奏は、ウィーンフィルとくらべると多少音色の魅力には劣るが、老巨匠ベームの下、水を得たさかなのように生き生きと演奏しているのが手にとるようにわかるのがとても心地よい。また、ホールの残響も当時の日本のそれとは違って実に豊かであるのが印象深い。

晩年のベームの、「究極の日常」をじっくりと味わいたい、と思えるようなLPだ。

写真2
  

クラシックLPを専門で扱う【ベーレンプラッテ】では、お客様に最高の品質でレコードをお届けしたいと考えています。直接輸入したクラシックLPは、すべて実際に盤質・ジャケットの状態を確認した商品です。品質の良い商品を厳選し、お届けの際は一つひとつ丁寧に洗浄・梱包してお届けしていますので、こだわりのクラシックLPをお探しの方は、ぜひご利用ください。

  

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カラヤン讃

カラヤン讃

(ベートーヴェンの交響曲演奏を中心に)

日本においては、高齢の巨匠が、非常に熱烈に歓迎され・尊敬される傾向が強いようだ。

ちょっと前では、朝比奈隆やギュンター・ヴァントのライブでのもの凄いフィーバーぶりや、カール・ベームの日本における実況録音のCDでも聞ける、聴衆の異常ともいえる熱狂ぶりは、記憶に新しい。それも、共通してベートーヴェンやブルックナーといったドイツ・オーストリアの大作曲家の作品を取り上げることが多いようだ。しかし、そんな彼らの中にあって、人一倍多かった絶賛とともに、批判も(特にわが国では、音楽以外での私生活においてでも)それと同じくらい多かった巨匠がいた。
ヘルベルト・フォン・カラヤンである。

カラヤンのベートーヴェン演奏の変遷

彼は、生涯ベートーヴェンの交響曲にこだわり続け、録音・録画にと数種類の全集を残した。それだけではない、「第五」・「第七」などは、全集とは別に、単独のレコーディング・録画も行っている。それらを合わせると、一人の指揮者のベートーヴェン録音としては、ほかを圧倒する数になる。同一曲の再録音の多い、彼のディスコグラフィの中でも、特別な位置を占めている録音ということになる。

今、我々がLPで入手できる、カラヤンのベートーヴェンの全集は4種類ある。初めの一つのみ、フィルハーモニア管弦楽団とのセッションで、あとの三つは終身音楽監督を務めた、ベルリンフィルとのものである。

1950年代のはじめにEMIの名プロデューサー、W.レッゲとの共同作業で生まれた第一回目の全集は、彼のベートーヴェン解釈の原点といってもよいだろう。すなわち、流線型を描くような、なめらかな旋律の歌いまわし、スピード感たっぷりのテンポが、後の全集よりもストレートに伝わってくる。当時のフィルハーモニア管弦楽団も、名手揃いで、オーケストラの技術的な観点からいっても、今聴いてみても決して古めかしい印象は受けない。

第二回目の全集は、それから約十年後の1960年前半における音楽的遺産である。

(写真1)

ベルリンフィルの監督就任後、数年が経って、ベルリンフィルという、世界最高のオーケストラと完全に一体となった演奏は、聴く者をぐいぐいと引き込んで、飽きさせることはない。この全集で、両者が創り出すベートーヴェンは、世界的なステータスを築くことになる。当時の、ベルリンフィルの録音のホームグラウンド(演奏会では、まだ、映画館が使われていた)、ベルリン・イエス・キリスト教会のアコースティックの良さも相俟って、ずっと長い間(そして、今でも)、数多いベートーヴェン演奏の中でも、リファレンス的な位置づけを保ってきている。オーディオ的にも、この全集の意義は大きく、重厚なベルリンフィルのサウンドを見事にとらえた録音は素晴らしく、これを完璧に再生するのはとても難しい。

1963年、念願の新フィルハーモニーホールが完成した。しかしながら、カラヤン、そしてドイツ・グラモフォンのスタッフは、録音会場をイエス・キリスト教会から、ここへはすぐに移さなかった。よほど、この古びた教会に愛着があったのだろう。

何回かの試行錯誤の後やっと、完成から十年以上たってから、新ホールで録音を始めた。レパートリーの中には、もちろんベートーヴェンも含まれており、これが、第三回目の録音である。

(写真2)

カラヤンをして「今や、私とベルリンフィルとの関係は最高である」と、言わしめた演奏は、まさに最高という言葉がぴったりである。当時、この全集を初めて聴いた筆者は、あまりにも完璧な演奏に、ある種の「退屈」さ、さえ覚えた記憶がある。磨きぬかれた音色に惚れ惚れしたり、ものすごく難しいパッセージでも、何事もなかったかのように、さらりと演奏するのを聴いて、あっけにとられたのが、つい昨日のことのように思い出される。また、それまで慣れ親しんだ、イエス・キリスト教会と大幅に異なるフィルハーモニーホールの音響に戸惑いと、新しい可能性を感じたのも、今となっては、懐かしい思い出だ。

1980年代に入るとオーディオは、革新的な技術革新を成し遂げることになる。すなわち、デジタル録音、そしてCDの時代に突入するのだ。常に、“何か新しいもの”を求め続けた彼は最後の力を振り絞り、憑かれたように、今までのレパートリーをデジタルで再録音するようになる。それらの中に、ベートーヴェンの交響曲全集があったのは、言うまでもない。

(写真3)

そして、彼は、最後のベートーヴェンをライブ録音で残してくれた。(「第九」を除くこれらが、後のDVDのサウンドトラックとなった。)ここに記録されているベートーヴェンは、前の三つとは、異なる趣を呈している。具体的には、以前よりも速めのテンポで、さらりとした印象の演奏である。しかし、何回か繰り返して聴いてみると、その第一印象は、影をひそめ、大きな感動へと変わってくる。その演奏の陰にひそんでいる、彼のベートーヴェンへの執念が伝わってくるのだ。あえて、ドラマティックな表現を避け、素朴ささえ感じさせる彼の演奏の根底にあったものは、一体何だったろうか?

私は、それは、ベートーヴェンをはじめとする作曲家や彼らの残した作品に対する愛情だったのではないかと思う。

晩年、音楽とはあまり関係ないことが原因で、ベルリンフィルとの関係が悪くなってきた彼は、かつての友、ウィーンフィルとの仕事量を急激に増やすようになる。やはり、同郷の人間とは一番分かり合える、ということなのであろうか?その頃の、チャイコフスキーやモーツァルトには、今までベルリンフィルとの演奏には聴けなかった、不思議な、そして、あまりにも悲しい音が見え隠れする。

最後の日々

1989年4月下旬、彼はウィーンフィルとのコンサートとレコーディングを行う。曲は、ブルックナーの第七交響曲であった。その翌日、ベルリンフィルに辞表をたたきつけ、今後は、ウィーンフィルとのみ演奏活動をすると表明した。ウィーンの市民は大喜びし、国立歌劇場の支配人は、「カラヤンが帰ってくるのなら、ウィーンの空港からオペラ座まで赤絨緞を敷いて歓迎したい」、とまで言ったそうだ。

しかし、その約3ヵ月後、彼は心臓発作であっけなくこの世を去ってしまう。彼には、生まれ住んだオーストリアで、実りある晩年を送るには、残された時間があまりにも短かった。(信じられない話だが、彼は、ベルリンには自宅を持たずに、ホテル暮らしだった。)結局、このブルックナーが彼の最後の仕事となってしまった。

クラシックLPの専門ショップ【ベーレンプラッテ】では、ヘルベルト・フォン・カラヤンのLPレコードを多彩に取り扱っています。ヨーロッパを中心に、世界中の様々なレーベルのクラシックLPレコード(中古)を通販にてお届けしていますので、お探しのクラシックLPレコードがありましたら、お気軽にお問い合わせください。LPレコードはどれも、実際の目と耳で厳選した、コンディションに優れた名盤ばかりです。

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アバド&BPOの「ラスト・コンサート」を聴く

アバド&BPOの「ラスト・コンサート」を聴く

アバドは、2002年6月をもってベルリンフィル(BPO)の音楽監督の職を辞した後、2004年の6月に再びBPOの指揮台に立つことになる。
この後彼は、毎年一回だけ、5月または6月にBPOを指揮している。
このコンサートは、彼の死の前の年(2013年)まで続けられた。

さて、この公演は、BPOの数あるコンサートの中でも特に人気のあるコンサートとなり、チケットの入手は困難を極めた。筆者も、このコンサートのチケットのために苦労した思い出がある。

なにしろ、前の監督(カラヤンやフルトヴェングラー)は、監督を辞することが、そのまま彼らの死となったため、前のシェフが再びベルリンフィル指揮することがなかった。
そのため、このコンサートがベルリンの聴衆の注目の的になったのである。

さて、今回LPされたものは、その最後のもので、アバドとベルリンフィルの「お別れコンサート」となったものである。

https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/KKC1112.html

プログラムは、「真夏の夜の夢」と「幻想交響曲」。

私は、これまでも彼の指揮するこの2曲を何回か実際に聴くことができた。
特に、「幻想交響曲」は私のアバド初体験である、1983年のロンドン交響楽団の来日公演だったはずだ。

この頃の彼を知っている人にとっては、それから30年後のこの「幻想」は、ちょっと聴くと、あまりにも内省的で、物足りない演奏に感じられるもしれない。
しかしながら、さらにもう一歩踏み込んで聴くと、そこには、以前の彼からは聴こえなかった、深淵な世界が見え隠れすることがわかる。

今回LP化された演奏に対して、

「アバドは妖精の世界を見ることができる」
と評されたらしい。

私も同感だ!

ベルリンフィルの演奏も彼の指揮に応え、いつもよりいっそう、一音一音を大切にした、また、彼と一緒に音楽するのが実に幸福なひと時のように見えてくるかのような演奏に心打たれた。

私は、以前からこのコンサートのCDを愛聴してきたが、今回到着したLPで聴くと、ベルリンフィルホールのコンサート時の空気感まで感じることができ、以前にもましてこの演奏の素晴らしさがわかったような気がした。

詳細は、こちらから

https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/KKC1112.html   
写真1
  
写真2
  
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厳選したアナログレコードを通販でお届けする【ベーレンプラッテ】は、ヨーロッパで直接買い付けを行っている輸入レコードの専門店です。盤質やジャケットの状態を直接確認して厳選しているため、扱っている輸入レコードの品質には自信があります。輸入レコードは良い状態でお届けしたいと考え、すべて丁寧にクリーニングを行っています。新品の内袋にレコードを入れてお届けしますので、こだわりのアナログレコードを購入したいとお考えの方はぜひ【ベーレンプラッテ】をご活用ください。

  

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ラトルのベートーヴェン(ステレオサウンド第204号)

ラトルのベートーヴェン(ステレオサウンド第204号)

この文章は、ステレオサウンド誌第204号の当店の広告ページに店主が書いたものです。

LPで聴くラトルのべートーヴェン

数年前から、ドイツの、いや世界一の名門のオーケストラのひとつ、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団(BPO)は、自らのレーベル(ベルリンフィルレコーディング)を立ち上げ、インターネットを使ったコンサートの配信(デジタルコンサートホール)やCD・LP・DVDのリリースなど、積極的にマーケットに進出してきた。オーディオファイルには、昨年リリースされた、「ダイレクトカット! ブラームス/交響曲全集」が記憶に新しいが、先日、また魅力的な「新譜LP」がリリースされた。(6月21日リリース)

現在のBPOの音楽監督である、サイモン・ラトル指揮のベートーヴェンの交響曲全集がそれである。(10LPのセット)

写真1

これは、昨年発売されたCDと同じ演奏(2015年秋のベートーヴェン/交響曲全曲演奏会のベルリンライヴ)を素材としながらも、聴こえてくる音楽のイメージや音場感は全く違うという、非常にユニークなものである。

ここからは、それらの試聴記である。

まずはCD。これは、最近の多くのオーケストラ録音と同様に多くのマイクロフォンを使用した「マルチマイク」形式。(もちろん、ハイレゾ録音)

聴いてみると、各楽器の分離が非常に良く、なおかつオーケストラ全体のバランスも非常に良く整えられて、最近のオーケストラ録音の中でも出色である。それは、CDセットに付いているハイレゾ音源(ブルーレイディスクやダウンロードされたソース)を聴けば、さらに明白となる。現代のオーケストラのHIFI録音の見本のように感じる。すでに、このCDや音源をお持ちの方は、かなり多いのではないか?

次にLPを聴いてみる。
聴きはじめると、CD(ハイレゾ録音)とは全く違う音場にハッとさせられる。

CDとは対照的に、各楽器の分離があまり良くないのだ。
ちょっと失望しながらも聴き続ける。すると、「こちらの方が生演奏のイメージに近い」ことに気付かされる。
LPの方が、聴く者の目の前で、ベルリンフィルがフィルハーモニーホールの中でふわっと展開する感じが濃厚である。そして、各楽器のソロも、実に自然にオーケストラの音の洪水の中から、ぽっと浮かびあがってくる。

それもそのはず、こちらは、基本的にはマイクを二本しか使わない「ワンポイント方式」を採用しているのである。なるほど、と思いながら、いつしか、ベルリンフィルホールにいるような感覚に包まれ、大変楽しく聴くことができた。(この感じは、昨年のダイレクトカットの「ブラームス」と同じ。)
もちろん、最新技術を惜しげもなく投入したCD(ハイレゾ録音)の鮮烈な音も非常に魅力的である。是非とも、両方を聴き比べていただきたいものである。

今回、LPを購入すると、ワンポイント録音の方のハイレゾ音源をダウンロードできるパスワードもついてくるという特典がある。(CDセットには、マルチマイク方式のハイレゾ録音のパスワードが付属。)つまり、「ワンポイント録音」も「マルチマイク録音」もハイレゾで両方楽しめるということだ。

ただし、LPは全世界2000セット限定(日本への割り当ては500セットで再プレスの予定はなし。)であるから、できるだけお早目のご購入をおすすめする。

実は、当店では日本での割り当て数の約1割を確保したが、本日(8月初旬)の在庫数は、一桁となってしまった。もちろん、これらがなくなれば、追加オーダーを出すが、その時点で、メーカーに在庫があるかどうかは保証できない。

商品の詳細はこちらから

https://www.lpshop-b-platte.com/SHOP/KKC1070.html
写真2

名曲・名盤の中古輸入レコードを扱う【ベーレンプラッテ】では、一枚一枚直接チェックした商品を販売しています。また、輸入レコードは買い付けしたものをそのまま販売するのではなく、出荷前にクリーニングマンシンで洗浄し、丁寧に梱包してお届けします。ミントからニアミント・コンディションの輸入レコードを、厳選して取り扱っていますので、こだわりの一枚をお探しの方は、ぜひ利用をご検討ください。

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新LP鑑定法 その3(ステレオサウンド誌202号)

新LP鑑定法 その3(ステレオサウンド誌202号)

新LP鑑定法 その2(英DEECA編)

金子 学

以前(といってもかなり前であるが)、「LP鑑定法」と題して、レーベルやジャケットなどから、そのレコードが、オリジナル盤(初版)かどうか、あるいは、いつごろにプレスされたかを推測する方法について書いたことがある(詳しくは、当店のホームページを参照のこと)。

今回は、その原稿執筆以降わかったことを加えて、より詳しい「鑑定法」についてお話ししたい。今日は、その一回目。

ドイツ・グラモフォン(DGG)

まずは、当店でももっとも取扱量の多い、ドイツ・グラモフォン(DGG)から。

● モノラル時代 ● ステレオ時代

モノラル時代

モノラル時代のDGGのセンターレーベルのデザインは、大きく分けて二つに分けられる。「LP33」と「チューリップ」である。

A LP33レーベル

LPのごく初期、つまりLPレコードとSPレコードが同時発売されていた頃のレーベルと思われる。

センターレーベルの中心部に金色で「LP33」と印刷されているレーベルだ。(写真1)

(写真1)

(写真1)

たぶん、SP用の機器でLPレコードを再生してしまって、LPの音溝を台無しにしてしまうことを防ぐために、「このレコードは、LPである!」ということを強調し、注意を喚起するためのものと思われる。このレーベルは、LP登場直後ものに限定されているため、非常に珍しい。(また、ジャケット装丁もほとんどが、丁寧に糸で縫われたものである。)

B チューリップレーベル

1950年代中盤にあった「LP33レーベル」も、50年代も終盤になると、LPの普及に伴い廃止され、クラシックファンにお馴染みの「チューリップレーベル」(Tレーベル)になってくる。(写真2)

(写真2)

(写真2)

モノラル時代のTレーベルは、大きく分けて、二つのタイプに分けられる。

その見分け方は、レーベル中心部のセンタースピンドル右にある「33」の数字の周囲が、四角形であるか、逆三角形であるかで判別する。(写真3と4)

(写真3)

(写真3)

(写真4)

(写真4)

プレス時期としては、33の周囲が四角の方が初期のようである。

この両者の違いは、私にはまだちょっとわからない。(EMTの930や927のイコライザーカーブの切り替えスイッチには、これと同じマークのポジションがあるが、不勉強ものの私には不明。わかる人がおりましたら、ご一報を!)

なお、あまり知られてはいないが、DGGの1960年代中盤までのステレオ録音には、モノラルカッティングのLPが存在する。これらを聴くと、ステレオ盤にはない、分厚い音像から新たな発見をすることがある。もし、機会があったら、ぜひともトライしてほしい。

ステレオ時代

ステレオ時代のレーベル遍歴もかなり複雑だ。

ステレオ期のセンターレーベルのデザインは大別して大きく2つに分けられる。チューリップレーベル(写真5)とブルーラインベーベル(写真6)である。

(写真5)

(写真5)

モノラル期からあるTレーベルは、レーベルの外周部が白と青のチューリッで囲まれたもの、BLレーベルとは、チューリップの代わりに青の二重線が印刷されたものである。

(写真6)

(写真6)

チューリップレーベル

TレーベルのステレオLPはさらに2つのグループに分けられる。一番古いのは、レーベル外周のチューリップの内側の「著作権に関する注意」がALLE HERSTELLERから始まるドイツ語の文章になっている。(写真7)

(写真7)

(写真7)

もうすこし後の盤では、そこがMADE IN GERMANYから始まっている。(写真8)

(写真8)

(写真8)

ジャケットを見てみると、TLレーベルの古い盤(ALLE)のほとんどは表面上部のDG独特の黄色い部分(額縁)の下部の「STEREO」の部分が赤く塗りつぶされている。これを、マニアは「赤ステレオ」と呼んでいる。

また、DECCAなど同じように、1960年代の中ごろまでは、ジャケット裏の右下の部分にジャケットの印刷年月が小さく印刷されている。

さて、この新旧のTレーベルのプレス時期の件であるが、かなり状況は複雑だ。

レコード番号でいえば、138で始まる6桁のLPには、すべて写真7のような古いレーベルが存在するが、139で始まる後の時期のリリースのものでは、写真8の後期のレーベルしかないものもある。(それどころか、このあと紹介する、BLレーベルのみしか見かけないものも存在する。)

このあたりは、公式な見解がなくすべて経験則なのでそのつもりで見てほしい。

また、ジャケットについても前述の「赤ステレオ」ジャケットに入っているLPのすべてが古いプレスとは限らないので、マニアは要注意だ。

ブルーラインレーベル

1968年頃からプレスされたLPはすべてこのレーベルデザインとなる。(番号でいえば、139始まる6桁のLP、2530や2531で始まる7桁のもののすべて。写真6)

(写真6)

(写真6)

この頃のLPはカラヤン始め、ドイツやオーストリアを中心とする巨匠たちの名演・名録音揃いなので、オーディオファイルであれば、数枚いや数十枚単位のコレクションをお持ちの方も多いに違いない。

実は、このBLレーベルも、小さな違いに注意すると数種類のタイプに分けることができるが、今回は省略。

やがて、時代はデジタル録音の時代になってくる。DGGも基本的にはBLレーベルのデザインを踏襲するが、そのなかに「DEGITAL RECORDING」のロゴを加えた図案を採用してくる。(レコード番号でいえば、2532で始まる7桁、あるいは、4から始まる6桁。ちなみに、4から始まる6桁番号のあとのハイフンの後の数字は、メディアの種類を表している。1はLP、2はCD、4はカセット。)

(以下次号)

【ベーレンプラッテ】はヨーロッパを中心に、コンディションの良い様々なレーベルのクラシックレコードを通販でお届けしています。オリジナル盤やリマスタリング盤などの商品もご用意していますので、名盤のクラシックレコードをお求めの方はぜひご活用ください。

クラシックレコードの専門店を利用したいとお考えなら、厳選したオリジナル盤・リマスタリング盤を扱う【ベーレンプラッテ】へ。

オリジナルのクラシックレコードをお探しなら【ベーレンプラッテ】

ショップ名 輸入クラシックLP専門店 ベーレンプラッテ
販売業者 ベーレンプラッテ
販売責任者 金子 学
住所 〒157-0066 東京都世田谷区成城8丁目4-21 成城クローチェ11号室
電話番号 03-5429-9025
FAX番号 03-5429-9026
メールアドレス record@b-platte.com
ホームページ https://www.lpshop-b-platte.com/
取扱商品 輸入LPレコード
レコードケア用品(保護袋など)

新LP鑑定法 その2(ステレオサウンド誌203号)

新LP鑑定法 その2(ステレオサウンド誌203号)

新LP鑑定法 その2(英DEECA編)

金子 学

前回の「新LP鑑定法」のDGG編には、多くの方の感想をいただいた。
多くの方から「非常に参考になった。」とか、「今までのもやもやが消えた。」などとお褒めの言葉をいただいた一方、「もっと詳細な情報を」との御意見もいただいた。
実は、レーベルの変遷においては、もう少し細かな情報もこちらにあるが、まだ確認できていないことも多かったため、確信をもってお話しできることに限りお伝えしたところである。
もちろん、今後も、新しい情報が確認でき次第、当店のホームページなどで紹介していきたい。興味のある方は、是非チェックしていただきたい。

第2回目の今回は、「ショルティのリング」などでおなじみの、オーディオファイルの憧れの的、英DEECAのLPレーベルの変遷についてまとめてみたい。

● 英DECCA・モノラル編 ● 英DECCA・ステレオ編

◆英DECCA・モノラル編◆

イギリスの名門レーベルDECCA社では、モノラルLPは1950年から1969年まで生産された。これ以降はステレオLPのみのプレスとなっている。
DECCAのモノラル期のレーベルは、大きく分けて2つのパターンに分けられる。
それぞれは、「オレンジ&ゴールド」と「オレンジ&シルバー」と呼ばれている。

Aオレンジ&ゴールドレーベル

レコード番号で言うと、すべてのLXT2000番台とLXT5118までの5000番台となる。そのアルバムのセンターレーベルがオレンジ色に金文字が印刷されていれば、それがオリジナル盤である。いわゆる「オレンジ&ゴールドレーベル」だ。(写真1)

(写真1)

(写真1)

このレーベルのほとんどのLPはオリジナルのモノラル録音である。父クライバー、クナッパーツブッシュ、そしてフルトヴェングラーらの名演が目白押しだ。録音も素晴らしく、特に楽友協会でのウィーン・フィルの名盤は、今聴いても、決して輝きを失うことはない。

Bオレンジ&シルバーレーベル

LXT5119以降のレコードは、すべて銀色の文字になる。これが、「オレンジ&シルバーレーベル」である。
この時期のLPには、ステレオ録音のモノラルカッティングも多いが、これを侮ることなかれ。ステレオ録音であっても、モノラル再生用にマスタリングされた名盤は、ステレオとはまた違った魅力を放っている。(写真2)

(写真2)

(写真2)

なお、このモノラル時期のLPのレーベルは細かく見ると、デザイン違いのほかに、レーベルの内側や外側に溝があるものがあり、そのパターンも数種ある。これを、プレス時期によって細分した資料も見かける。しかし私には、確証がもてない部分も多く、今後も検証が必要であるので、今回は紹介を見送ることにする。

英DECCA・ステレオ編

DECCAのステレオLPのセンターレーベルのデザインは、年代別に4つのグループに分けることができる。それぞれのオーディオファイルはED1、ED2、ED3、ED4と呼んでいる。また、それらの中でも、ED1からED3までを「ラージ・レーベル」(またはワイド・バンド・写真3)、ED4を「スモール・レーベル」(写真4)と大別している。

(写真3)

(写真3)

(写真4)

(写真4)

ラージ・レーベルは、読んでその字のごとく、スモール・レーベルよりもセンターレーベルの大きさが、ひとまわり大きい。また、レーベル中にデザインされている銀色の帯(黒色で「FULL FREQUENCY」と書かれている)の幅が13ミリメートルあり、ED4よりかなり広い。そのため、「ワイド・バンド」とも呼ばれている。

それで済めば、話は簡単であるが、そうは問屋が卸さないのだ。実は、「ラージ・レーベル」だけでも、3種のヴァリエーションが存在する。

もっとも古いタイプがED1と呼ばれるタイプだ。ラージ・レーベルの外周から約1センチのところに溝(GROOVE)があり、レーベル外周(時計でいうと10時の辺り)に「ORGINAL RECORDING BY DECCA」と印刷されている。(写真5)

(写真5)

(写真5)

このレーベルが、DECCAのステレオレコードの中でも、もっともプレスの時期が早く、オーディオファイルたちの憧れの的である。
(このED1より前に、ごく少数ではあるが、レーベルデザインはED1と全く同じで、レーベルの外側の溝が糸のように細いものがある、これをED0、または「パンケーキレーベル」と呼ぶ。)

続くED2はレーベルデザインについてはED1とほとんど同じであるが、10時の位置が「MADE IN ENGLAND」(写真6)となっている。

(写真6)

(写真6)

ED3はED2 におけるセンターレーベル外周部の溝のないものだ。(写真7)

(写真7)

(写真7)

DECCAのステレオLPでは、ED1またはED2が存在するレコードは
SXL2000番台すべて
SXL6001から6368

またED3は、
SXL6369から6448まで存在する。(ただし、SXL6435と6447はED4がオリジナル)

それ以降の番号はED4がオリジナルである。

また、デジタル録音のレーベルや、1980年代後半に閉鎖されたイギリスの工場の代わりとしてDECCAのLPがプレスされたオランダ工場でのレーベルも参考までに掲載しておく。(写真8、9)

(写真8)

(写真8)

(写真9)

(写真9)

(ベーレンプラッテ店主)

【ベーレンプラッテ】では、ヨーロッパから輸入した、クラシックレコードを販売しています。レコードやジャケットのコンディションは、買い付け時に直接、肉眼で確認していますのでご安心ください。有名指揮者や演奏者のクラシックレコードを、豊富に取り扱っています。お探しのクラシックレコードがある方はお気軽にお問い合わせください。

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いいぞ、カルロス!

いいぞ、カルロス!

「今、才能のある指揮者は数多くいるが、真に「偉大」と呼べる指揮者がいなくなってしまった!」という、オールドファンの嘆きを聞いたことがある。

確かに、CDで聞かれる、最新録音のオーケストラ演奏は、精度抜群で、アイディアにあふれた「好演」が多い。しかし、改めてCD棚を見渡すと、一回聞いただけで、そのままになってしまったものが多くなっていることに気づく。今や、「演奏」も新聞のように時間が経つと、人々の記憶から消え、「演奏家」もそれと一緒に消え去り、古くはフルトヴェングラー、最近ではカラヤン、バーンスタインのように、後世まで語り継がれる巨匠たちは影を潜めてしまったのだろうか?

いや、一人だけいる。どこかで、指揮台に上る?という噂だけで、多くのファンをどきどきさせるカリスマ指揮者が…。

カルロス・クライバー!1930年、往年の名指揮者、エーリッヒを父にベルリンで生まれる。第二次大戦の影響で、一時アルゼンチンに移住する。父は、息子が音楽家を志すことに反対で、特別な音楽教育を受けさせなかった。しかし、父の意思に反し、指揮者志望だった彼は、20歳の頃から、個人教授について音楽を学び始めた。

1952年、クライバー一家は、ヨーロッパにもどる。彼は、化学を学ぶ傍ら、音楽の勉強を続け、23歳でミュンヘン・ゲルトナープラッツ劇場の無給見習い指揮者となり、いよいよ音楽家としてのキャリアを歩み始める。翌年には、ポツダム州立歌劇場でオペレッタを指揮する。その後、ライン・ドイツオペラ(デュッセルドルフ)、チューリッヒ歌劇場などで研鑽を積み、1966年からのシュトゥットガルト歌劇場での活躍で一躍評価を高める。

1970年、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場との契約を皮切りに、バイロイト音楽祭、ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場などでも絶賛を博す傍ら、ウィーン・フィルなどの欧米の一流楽団とのコンサート・録音を行う。現代最高のカリスマ指揮者として絶大な人気を誇り、コンサート・オペラへの出演の噂ですら、センセーショナルなニュースとなるが、1990年代前半からは公演回数が激減し、ここ何年かは、(開催の噂は出るが)コンサート・オペラはおろか、レコーディングさえ行っていない。

この経歴からわかるように、非常に気難しい彼であるが、1970年代中盤から十数年の間に、わずかであるが、レコード用の録音をいくつか残してくれた。(噂によると、ドイツ・グラモフォンを始め、レコードメーカーの倉庫には、「お蔵入り」の彼の指揮したマスターテープがかなりあるという。)そのどれもが、彼ならではの名演揃いである。

クライバーのデビューLPは、1975年録音のウエーバーの「魔弾の射手」であった。

(写真1)

この演奏は、今聞いても圧倒的なエネルギーと劇的迫力を備え持った名演なのであるが、多くの愛好家の注目を浴びにくいオペラ全曲であったので、これほどのパフォーマンスであった反面、多くの音楽ファンの心を魅了、とまではいかなかった。しかし、次に発売された、ウィーン・フィルとの「運命」!には、音楽ファン皆がびっくりした。

(写真2)

まずは、その登場の仕方。その頃には、既に40代中盤を迎えていた彼であるが、初の交響曲録音に、ベートーヴェンの「運命」、それも、天下のウィーン・フィルとのものなのだ!このことからも、よほどの自信だったのがわかる。しかし、私たちの驚きは、このLPを聴いた後、もっと大きなものになる。

それまでの、この曲に対する既成概念を覆していながら、奇をてらったところとか、わざとらしさがまったくない、説得力満点の名演であったからだ。

ものすごい高速でありながら、決して上滑りのない音楽、あくまでも優雅に、しなやかに歌われるメロディーに、あっという間の35分間の「事件」に初めて接して、めまいに近い感動を覚えたのは、私だけでないだろう。また、今までの誰とも違う彼の指揮に食らいつくかのように、あるいは、初めて、このクラシック音楽の代名詞のような曲に接した学生みたいに、ひたむきに、演奏を繰り広げた口うるさい名門、ウィーン・フィル楽団員たちの演奏振りにも、大いなる感銘を受けたものだった。

この一枚から、彼の快進撃が始まる。ベートーヴェンの第七交響曲、シューベルトの「未完成」のような交響曲、そして、「椿姫」・「トリスタンとイゾルデ」のようなオペラ作品に、長い間オペラハウスで研鑽を積んだ彼ならではの、劇的高揚感と目もくらむような音色美を伴った名盤が生まれるのだ。そのなかでも、筆者はバイエルン国立歌劇場との、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」を特に愛聴している。ここで、クライバーは、オペレッタらしく、生き生きした躍動感をオーケストラや歌手たちから引き出している。しかし、それが、単に気持ちよいとか、「軽快」などという次元をはるかに超え、ヴェルディやワーグナーなどのオペラに匹敵する、ドラマを感じさせるさまには、「お見事」というほかない。

話はそれるが、このLPを発売したドイツ・グラモフォン社は、ドイツに本社がある割にはオペレッタの録音が極端に少なく、私の知る限り、100年以上の同社の歴史でも、名作「こうもり」全曲これ一つしかない。(オペレッタすべてでも、ほかには、カラヤン指揮の「メリー・ウィドー」だけのはずだ。)

これらの名盤の後、リヒテルとのドヴォルザークのピアノ協奏曲、そして、たった二回だけ登場した、ウィーン・フィル元旦恒例の「ニューイヤー・コンサート」のライヴ盤以降、彼はレコーディングやコンサートから遠ざかってしまい、1999年年頭のイタリア・スペインでのコンサート以来、公衆の面前には姿を現さなくなってしまった。実は、今年夏のザルツブルグ音楽祭に出演か、という報道もなされたのだが、それも幻になってしまった。

(写真3)

以前、ベートーヴェンのLPがリリースされたときの、日本盤のジャケットのタスキに、「いいぞ、カルロス!言うことなし!」とあったのを、これを書きながら思い出した。

この、コピーこそ、彼の演奏に捧げる賛辞としてベストであると思う。この名句(?)を思いついた誰かに嫉妬を抱くくらい、私はカルロスの演奏に首ったけなのだ! 

(2002年)

【ベーレンプラッテ】は、カルロス・クライバーやバーンスタインといった有名指揮者のクラシックレコードを始め、アルゲリッチ、ルービンシュタイン、ムターなど数々の演奏者たちのクラシックレコードを豊富に取り扱うクラシックLP専門ショップです。取り扱っているクラシックレコードは、すべて店主やスタッフがヨーロッパで直接買い付けて仕入れています。ジャケットや盤質のコンディションを一枚一枚チェックし、厳選していますので、オリジナル盤もコンディションのよいものに出会えます。

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新LP鑑定法

新LP鑑定法


オリジナル盤
この言葉は、多くのレコード収集家・そしてオーディオファイルには麻薬のような言葉である。
レコードジャンキーたちは、オリジナル盤を求めて日夜奔走しているといってもいいだろう。

さて、
オリジナル盤とはなにか?
いろいろと調べてみたが、はっきりとした定義はないようだ。
当店では、オリジナル生産国の初発売時・あるいはそれとほとんど近い時にプレスされたもの(盤のレーベルの模様が初発売時と同仕様のもの)を”オリジナル盤”とする。
人によっては、ジャケットの仕様や、盤の厚み(フラット盤かどうか)も判定基準とすることもあるが、いろいろと調べていくうちに、どのジャケットの仕様が一番古いのか不明であったり、一般に「このジャケットの仕様が古い」という説が、外国では一概には正しいとはいえないということがわかってきたからだ。また、ジャケットが古い仕様でも、中に入っているLP本体が後のもの、その逆も結構あることがわかったからだ。

オリジナル盤は本当に音がいいのか?
よく、「オリジナル盤は音が良い」と言われる。
私も仕事柄、同じLPでオリジナル盤と第二版以降のLPを聴き比べることがあるが、確かにオリジナル盤のほうが音が良い、と感じることが多い。(決して「必ず・絶対」ということではない!)

さて、「音が良い」とはどのようなことを言うのか?

たぶん、オリジナル盤と第二版以降のLPの周波数特性を計ってみても、結果は同じだと思うが、ほとんどの場合、オリジナルのほうがちょっと音楽にうるさい人なら、「音楽がなまなましく聴こえる」と感じるであろう。

さて、ここでは、レコード会社ごとに、レーベル仕様(デザイン)の変遷を巡ってみたい。(この原稿の作成にあたっては、何冊かの書籍や、WEBページを参考にしたが、もしかしたら、誤った情報もあるかもしれない。もし、それらを見つけた方がいらっしゃったら、ご指摘いただければ幸いです。

(ベーレンプラッテ店主 金子学)


● ドイツ・グラモフォン(DGG)編

● イギリスDECCA編

● Columbia&EMI編

● 独アルヒーフ編

● 東独ETERNA(ステレオ)編

● 蘭PHILIPS編




◆ドイツ・グラモフォン(DGG)編◆

モノラル時代

モノラル時代のDGGのセンターレーベルのデザインは、大きく分けて二つに分けられる。「LP33」と「チューリップ」である。

A LP33レーベル

 LPのごく初期、つまりLPレコードとSPレコードが同時発売されていた頃のレーベルと思われる。
センターレーベルの中心部に金色で「LP33」と印刷されているレーベルだ。(写真1)


(写真1)


 たぶん、SP用の機器でLPレコードを再生してしまって、LPの音溝を台無しにしてしまうことを防ぐために、「このレコードは、LPである!」ということを強調し、注意を喚起するためのものと思われる。このレーベルは、LP登場直後ものに限定されているため、非常に珍しい。(また、ジャケット装丁もほとんどが、丁寧に糸で縫われたものである。)

B チューリップレーベル

 1950年代中盤にあった「LP33レーベル」も、50年代も終盤になると、LPの普及に伴い廃止され、クラシックファンにお馴染みの「チューリップレーベル」(Tレーベル)になってくる。(写真2)


(写真2)


 モノラル時代のTレーベルは、大きく分けて、二つのタイプに分けられる。

 その見分け方は、レーベル中心部のセンタースピンドル右にある「33」の数字の周囲が、四角形であるか、逆三角形であるかで判別する。(写真3と4)


(写真3)


(写真4)


 プレス時期としては、33の周囲が四角の方が初期のようである。

 この両者の違いは、私にはまだちょっとわからない。(EMTの930や927のイコライザーカーブの切り替えスイッチには、これと同じマークのポジションがあるが、不勉強ものの私には不明。わかる人がおりましたら、ご一報を!)

 なお、あまり知られてはいないが、DGGの1960年代中盤までのステレオ録音には、モノラルカッティングのLPが存在する。これらを聴くと、ステレオ盤にはない、分厚い音像から新たな発見をすることがある。もし、機会があったら、ぜひともトライしてほしい。

ステレオ時代

 ステレオ時代のレーベル遍歴もかなり複雑だ。
 ステレオ期のセンターレーベルのデザインは大別して大きく2つに分けられる。チューリップレーベル(写真5)とブルーラインベーベル(写真6)である。


(写真5)


 モノラル期からあるTレーベルは、レーベルの外周部が白と青のチューリッで囲まれたもの、BLレーベルとは、チューリップの代わりに青の二重線が印刷されたものである。


(写真6)


チューリップレーベル

 TレーベルのステレオLPはさらに2つのグループに分けられる。一番古いのは、レーベル外周のチューリップの内側の「著作権に関する注意」がALLE HERSTELLERから始まるドイツ語の文章になっている。(写真7)


(写真7)


もうすこし後の盤では、そこがMADE IN GERMANYから始まっている。(写真8)


(写真8)

 ジャケットを見てみると、TLレーベルの古い盤(ALLE)のほとんどは表面上部のDG独特の黄色い部分(額縁)の下部の「STEREO」の部分が赤く塗りつぶされている。これを、マニアは「赤ステレオ」と呼んでいる。
 また、DECCAなど同じように、1960年代の中ごろまでは、ジャケット裏の右下の部分にジャケットの印刷年月が小さく印刷されている。
 さて、この新旧のTレーベルのプレス時期の件であるが、かなり状況は複雑だ。
 レコード番号でいえば、138で始まる6桁のLPには、すべて写真7のような古いレーベルが存在するが、139で始まる後の時期のリリースのものでは、写真8の後期のレーベルしかないものもある。(それどころか、このあと紹介する、BLレーベルのみしか見かけないものも存在する。)

 このあたりは、公式な見解がなくすべて経験則なのでそのつもりで見てほしい。 また、ジャケットについても前述の「赤ステレオ」ジャケットに入っているLPのすべてが古いプレスとは限らないので、マニアは要注意だ。

ブルーラインレーベル

 1968年頃からプレスされたLPはすべてこのレーベルデザインとなる。(番号でいえば、139始まる6桁のLP、2530や2531で始まる7桁のもののすべて。写真6)


(写真6)


 この頃のLPはカラヤン始め、ドイツやオーストリアを中心とする巨匠たちの名演・名録音揃いなので、オーディアファイルであれば、数枚いや数十枚単位のコレクションをお持ちの方も追いに違いない。

 実は、このBLレーベルも、小さな違いに注意すると数種類のタイプ分けることができるが、今回は省略。

 やがて、時代はデジタル録音の時代になってくる。DGGも基本的にはBLレーベルのデザインを踏襲するが、そのなかに「DEGITAL RECORDING」のロゴを加えた図案を採用してくる。(レコード番号でいえば、2532で始まる7桁、あるいは、4から始まる6桁。ちなみに、4から始まる6桁番号のあとのハイフンの後の数字は、メディアの種類を表している。1はLP、2はCD、4はカセット。)


◆英DECCA編◆

モノラル時代

 イギリスの名門レーベルDECCA社では,モノラルLPは1950年から1969年まで生産された。これ以降はステレオLPのみのプレスとなっている。
 DECCAのモノラル期のレーベルは,大きく分けて2つのパターンに分けられる。
 それぞれは,「オレンジ&ゴールド」と「オレンジ&シルバー」と呼ばれている。

A オレンジ&ゴールドレーベル

 レコード番号で言うと,すべてのLXT2000番台とLXT5118までの5000番台となる。そのアルバムのセンターレーベルがオレンジ色に金文字が印刷されていれば,それがオリジナル盤である。いわゆる「オレンジ&ゴールドレーベル」だ。(写真1)


(写真1)


 このレーベルのほとんどのLPはオリジナルのモノラル録音である。父クライバー,クナッパーツブッシュ,そしてフルトヴェングラーらの名演が目白押しだ。録音も素晴らしく,特に楽友協会でのウィーン・フィルの名盤は,今聴いても,決して輝きを失うことはない。

B オレンジ&シルバーレーベル

 LXT5119以降のレコードは,すべて銀色の文字になる。これが,「オレンジ&シルバーレーベル」である。
 この時期のLPには,ステレオ録音のモノラルカッティングも多いが,これを侮ることなかれ。ステレオ録音であっても,モノラル再生用にマスタリングされた名盤は,ステレオとはまた違った魅力を放っている。(写真2)


(写真2)


 なお,このモノラル時期のLPのレーベルは細かく見ると,デザイン違いのほかに,レーベルの内側や外側に溝があるものがあり,そのパターンも数種ある。これを,プレス時期によって細分した資料も見かける。しかし私には,確証がもてない部分も多く,今後も検証が必要であるので,今回は紹介を見送ることにする。

ステレオ時代

 DECCAのステレオLPのセンターレーベルのデザインは,年代別に4つのグループに分けることができる。それぞれをオーディオファイルはED1,ED2,ED3,ED4と呼んでいる。また,それら中でも,ED1からED3までを「ラージ・レーベル」(またはワイド・バンド・写真3),ED4を「スモール・レーベル」(写真4)と大別している。


(写真3)


(写真4)


ラージ・レーベルは,読んでその字のごとく,スモール・レーベルよりもセンターレーベルの大きさが,ひとまわり大きい。また,レーベル中にデザインされている銀色の帯(黒色で「FULL FREQUENCY」と書かれている)の幅が13ミリメートルあり,ED4よりかなり広い。そのため,「ワイド・バンド」とも呼ばれている。

 それで済めば,話は簡単であるが,そうは問屋が卸さないのだ。実は,「ラージ・レーベル」だけでも,3種のヴァリエーションが存在する。

 もっとも古いタイプがED1と呼ばれるタイプだ。ラージ・レーベルの外周から約1センチのところに溝(GROOVE)があり,レーベル外周(時計でいうと10時の辺り)に「ORGINAL RECORDING BY DECCA」と印刷されている。(写真5)


(写真5)


このレーベルが,DECCAのステレオレコードの中でも,もっともプレスの時期が早く,オーディオファイルたちの憧れの的である。(このED1より前に,ごく少数ではあるが,レーベルデザインはED1と全く同じで,レーベルの外側の溝が糸のように細いものがある,これをED0,または「パンケーキレーベル」と呼ぶ。)

 続くED2はレーベルデザインについてはED1とほとんど同じであるが,10時の位置が「MADE IN ENGLAND」(写真6)となっている。


(写真6)


ED3はED2 におけるセンターレーベル外周部の溝のないものだ。(写真7)


(写真7)


DECCAのステレオLPでは,ED1またはED2が存在するレコードは
SXL2000番台すべて
SXL6001から6368

またED3は,
SXL6369から6448まで存在する。(ただし,SXL6435と6447はED4がオリジナル)

それ以降の番号はED4がオリジナルである。

 また,デジタル録音のレーベルや、1980年代後半に閉鎖されたイギリスの工場の代わりとしてDECCAのLPがプレスされたオランダ工場でのレーベルも参考までに掲載しておく。(写真8、9)


(写真8)


(写真9)


◆Columbia&EMI編◆

英コロムビア

 コロムビア(Columbia)社のレコードで、最もオーディオファイルに人気があるのは、オットー・クレンペラーやアンドレ・クリュイタンス、ダヴィッド・オイストラフそしてレオニード・コーガンなどの名録音で非常に有名な、SAX(サックス)シリーズである。特に、スカイブルーの地にシルバーで文字が印刷され、格子模様が全体に入り、ラベルの全周を広い帯で囲んでいる「ブルー&シルバーレーベル(写真1)」は名盤のオンパレードである。


(写真1)


 SAX2252から2539(ただし2526、2532から2534、2537の5枚は除く)までは、このレーベルデザインがオリジナルである。

 そして先程の5枚とSAX2540以降のオリジナルレーベルデザインは、「ハーフ・ムーン(あるいはセミサークル)」と呼ばれるものである(写真2)。このデザインは、後述のEMI(HMV)のレイアウトに似ているが、レーベルのどこかに「Columbia」の文字が入っているため、簡単に見分けが付く。


(写真2)


 後期のレーベルは、EMIの「スタンプニッパー」とほぼ同じであるが、ニッパー犬の代わりに音符が印刷されている。(写真3)


(写真3)


 このレーベルの音質上の特色は、デッカの鮮烈なサウンドに比べ、聴く者を包み込むような音場感豊かな上品なサウンドといってよい。

英EMI(HMV)

蓄音機のラッパに耳を傾け、熱心に(?)音楽鑑賞をしている名犬「ニッパー」君で有名なEMI(HMV)にも、多くのセンターレーベルのヴァリエーションが存在する。
 最も初期のレーベルは、白地に円形のラベルで蓄音機とニッパー君をあしらい、その下にスピンドル孔を横切る「STEREOPHONIC」の文字があり、金色で縁取りがされているデザインである。これを、私たちは、「ホワイト&ゴールド・ニッパー」と呼ぶ(写真4)。レコード番号で言えば、ASD251から575まであたりのLPはこのレーベルが、オリジナルである。


(写真4)


 これ以降は、基本的には、赤の地に上半分の半円の中に蓄音機とニッパー君の絵が入り、半円の上部は「HIS MASTER’S VOICE」のロゴが印刷されたデザインになる。これを、「半円(セミサークル)ニッパー」と呼ぶ(写真5)。番号では、ASDの576あたりから2470までは、オリジナルであると考えられている。


(写真5)


 今まで紹介した、DECCAやColumbiaも名演・名録音のオンパレードであったが、HMVもそれに勝るとも劣らない名盤がカタログを埋め尽くしている。中でも、シューリヒトのブルックナー、ケンペとバルビローリの一連の録音、そして、デュ・プレの名盤は、オーディオファイル・音楽ファンの憧れの的である。

 特にASD429のモーツァルトとバッハのヴァイオリン協奏曲集(ジョコンダ・デ・ヴィートのヴァイオリン、ラファエル・クーベリックの指揮)はもしかしたら、クラシック音楽のすべてのLPの中でも、もっとも入手の難しいLPのひとつかもしれない。(事実、私は、このLPについては、いまだかつて見たことも、聞いたこともないのだ。)
 これ以降は、スタンプ(切手)ニッパーと呼ばれるレーベルデザインになる。これは、ニッパー君の部分が、四角い縁取りで囲まれ、ちょうど切手(スタンプ)のように見えるためである。これにも3つのヴァリエーションがある。ニッパー君の絵が、カラーかモノクロかの違いである。番号で見ると、ASD2470あたりから2750あたりまではカラー・ニッパー(写真6)がオリジナルで、これ以降は、モノクロのニッパーが初版ということになるらしい。(写真7)


(写真6)


(写真7)


 また、ASD3800番台以降は再度カラースタンプとなるが、前者とは違い、レーベルの外周に白い縁取りがある。(写真8)。


(写真8)


 そして、最終期のレーベル(ASD4000番台以降)は「新ニッパー」といわれる(写真9)デザインとなる。


(写真9)


この、ASDシリーズの半円ニッパーとスタンプ(カラー、モノクロ両方とも)ニッパーのLPは盤自体のクオリティがとても高く、ばらつきも少なく、優秀なプレス技術といえる。


◆独アルヒーフ編◆

 アルヒーフ(ARCHIV)レーベルは、ドイツグラモフォンの社内に置かれた音楽史研究部門として1947年に立ち上げられた。ヴァルヒャ、リステンパルト、レーマンらによるバッハ作品の録音より開始され、その後オリジナル楽器復興として重要な、ヴェンツィンガーとバーゼル・スコラ・カントールムによる演奏や、決定的な名盤になった、カール・リヒターの「マタイ受難曲」などを録音。1980年頃からは、ピノック、ガーディナー、ゲーベルらと契約を結び、古楽復興の重要なレーベルとなってきた。

モノラル時代

 アルヒーフレーベルのモノラル時代のレーベルは、写真1のように、銀色のベースにレーベルの周囲に二本の青色の線が印刷されたものである。これは、一般に「ブルーラインレーベル」と呼ばれている。
 そして、このモノラルレーベルの中でも特に古いものは、スピンドル孔右側の青色の「33」の数字が、長方形で囲まれたもので、後期のレーベルは、それが逆三角形となる。(写真1は後期レーベル)
 この時期の名盤としては、イタリアのチェロの名手、エンリコ・マイナルディが演奏した、バッハの「無伴奏チェロ組曲」(1954-55年録音)があげられる。
 また、これレーベルの特色として、スピンドル孔の左側に録音の年月日(ドイツ語でDATUM)が印刷されているところ挙げたい。いままで、いろいろとレーベルを見てきたが、録音年月日が印刷されているのは、(多分)このレーベルのみだ。さすが、ARCHIV(ドイツ語で、公文書・古文書などの意味)レーベルといえよう。


(写真1)


ステレオ時代
 アルヒーフのステレオレーベルは、モノラルと同じく、「ブラーライン」から始まる。そのなかでも、初期のステレオレーベルは、レーベルに向かって時計の十二時の位置に、「STEREO」の表記がみられる。(写真2)


(写真2)


 その次の世代のレーベルは、写真2とほとんど同じではあるが、十二時の位置の「STEREO」の表記がなくなる。(写真3)
 この頃のアルヒーフレーベルの名盤としてはカール・リヒターが残した数多くのバッハの名作を中心とした名録音を上げることができる。先ほどの「マタイ」そして「ヨハネ」、数多くのカンタータそして、管弦楽組曲などの器楽曲はいまでも、バッハ演奏の模範として多くのファンを魅了している。


(写真3)


 さて、このレーベルデザインまでは、録音年月日がレーベルに表記されているが、なぜか、それがなくなってしまう。また、周囲のブルーラインもちょっと変更されている(写真4)


(写真4)


 次に来るのが、当店では「シルバーレーベル」と呼んでいるデザインだ。これは、非常にシンプルで、銀色(初期に比べて、つやがなくなっている)のベースに曲目や演奏家を印刷したものとなっている。(写真5)もちろん、録音データも印刷されていない。


(写真5)


 最後は、「デジタル録音」時代のものである。(写真6)
 この頃になると、レーベル周りのブルーラインは復活していて、「DEGITAL」の文字が目立つデザインなってくる。


(写真6)



◆東独ETERNA(ステレオ)編◆

 ベルリンの壁開放(1989)以前の東ドイツのレコードレーベルは、国営のETERNAのみであった。今回は、紙面の関係でステレオ時代のレーベルの変遷について書いてみたい。

 エテルナ最初期のステレオレーベルは写真7のようにレーベルの上の三分の一が白、のこりの三分の二がブルーのレーベルで、その白部分にETERNAとSTEREOのロゴマークが印刷されたものである。
 このレーベルはレコード番号でいえば、825で始まるごく一部の盤のみで見られ、レコードの盤質もこの後にプレスされたものより優秀である。一説には、このレーベルの盤は旧西ドイツでプレスされたという。このレーベルは、「扇形」あるいは「V字」レーベルと言われている。


(写真7)


 次の世代のレーベルは、黒のベースに、ETERNAのロゴが印刷されたもので、一般に「ブラックレーベル」と呼ばれている。このレーベルは80年代頃まで続き、エテルナの名盤として代表的なケンペやズスケ四重奏団などの名録音が目白押しだ。(写真8)


(写真8)


 その後のレーベルデザインは、黒地にETERNA EDITIONのロゴが銀色で印刷されたものである。(写真9)これを私たちは「エディション・レーベル」と呼んでいる。この後は、青地にETERNAやEDITIONのロゴが印刷されたものや、DEGITL表記のものなどがあるが、残念ながらちょっとまだ整理がついてない。(写真10・11・12)


(写真9)


(写真10)


(写真11)


(写真12)



◆蘭PHILIPS編◆

 1891年、社員僅か20人で、電球の生産からスタートしたオランダの家電メーカー・PHLIPIS社が1950年にレコードレーベルを立ち上げた。これが、アムステルダム・コンセルヘボウ管弦楽団などの名録音などで名門レーベルとして知られるフィリップスレーベルである。

モノラル時代

 フィリップスのモノラル時代初期のレーベルは、写真1のように、あずき色ベースにレーベルの上部に銀色で「Minigroove」(ミニグルーヴ)文字と「PHILIPS」社のロゴがアレンジされたデザインものである。これを我々は、「ミニグルーヴ・レーベル」と呼んでいる。この時代の名盤としては、メンゲルベルクとコンセルトヘボウ管弦楽団の「マタイ受難曲」をはじめとする歴史的名演や、クララ・ハスキルの演奏などがあげられる。


(写真1)


 その後のレーベルには、この「ミニグルーヴ」のロゴは無くなり、「PHILIPS」のみとなる。(写真2)また、レーベル自体の地の色も、あずき色から赤色に変更されていく。(写真3)


(写真2)


(写真3)


ステレオ時代

 1957年5月27日、フィリップス社は、ベイヌムの指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で初のステレオ録音を行う。(ドビュッシーの「海」ほか)
 さて、この初期のステレオ時代のレーベルのレコードは非常に貴重である。
 レーベルのデザインは、モノラル初期のレーベルと同じくあずき色の地に、「HIFI-STEREO」のパノラマ状のロゴが印刷されたものとなる。これを我々は、「ハイファイ-ステレオ」レーベルと呼んでいる。(写真4)
 このレーベルがオリジナル盤のレコードであるものの有名なものとしては、フェリックス・アーヨが独奏をつとめ、イ・ムジチ合奏団が演奏したヴィヴァルディの「四季」があげられる。もしかしたら、このLPは、カラヤンの「運命&未完成」と並び、もっとも有名なクラシックレコードかもしれない。(写真5)また、この頃アメリカ・コロンビアで録音されたブルーノ・ワルターとコロンビア交響楽団の一連のレコードのヨーロッパでの発売権は同社が所有していたため、これらのLPのヨーロッパ初版は、この「ハイファイ」レーベルということになる。


(写真4)


(写真5)


 このつぎの世代のレーベルは、「ハイファイ」のロゴは消え、「PHILIPS」のロゴのみとなる。このレーベルもいくつかのパターンがある。
 一番古いものは、あずき色の地に「PHILIPS」のロゴが銀色で印刷されたものである。(写真6)これは1960年代から1970年代の初めまで続く。この時期の名盤としては、ハンス・クナッパーツブッシュがバイロイトで指揮した、「パルジファル」のライヴ盤などがある。そして、やがて1970年代をむかえると、このレーベルの地の色は、赤色となる。(写真7)たぶん、このレーベルの時代がPHILIPSの黄金時代といってもよいかもしれない。ベルナルト・ハイティンクをはじめ、名指揮者たちとコンセルトヘボウ管弦楽団や、世界を代表する弦楽合奏団となった、イ・ムジチ合奏団の名盤がひしめき合っているからだ。


(写真6)


(写真7)


 その後、1970年代も後半となると、ロゴの色がこれまでの銀色から白色に変更されたり(写真8)、さらにはLP最終期になると、レーベルが銀色に変更されていった(写真9)。がしかし、世界屈指の名ホール・コンセルトヘボウ(オランダ語でコンサートホールを意味する)の音響を思わせる、ちょっと軽やかでふくらみのある美しい音色は、我々オーディオファイルをこれからも魅了していくことだろう。


(写真8)


(写真9)


デジタル録音時代

 1979年11月、フィリップス社初のデジタル録音が行われる。(コリン・デイヴィス指揮の「展覧会の絵」ほか。ちなみに、同社のCD第一号は、1982年録音のイ・ムジチ合奏団による「四季」。)
 デジタル時代の初期レーベルは、アナログ録音盤と同じ赤地にホワイトロゴであるが(写真10)、後になるとやはりシルバーレーベル移行にしていくことになる。(写真11)


(写真10)


(写真11)


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販売業者 ベーレンプラッテ
販売責任者 金子 学
住所 〒157-0066 東京都世田谷区成城8丁目4-21 成城クローチェ11号室
電話番号 03-5429-9025
FAX番号 03-5429-9026
メールアドレス record@b-platte.com
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【在庫限り!】カラヤンの1977年普門館ライヴ分売! 協奏曲初LP化!!


カラヤンの1977年11月普門館ライヴ
〜 各350セット限定で分売! ピアノ協奏曲集は初LP化! 〜

 二年前にBOXで発売され、またたくまに完売となったカラヤンのFM東京収録のライヴによるベートーヴェン交響曲全集ですが、分売の要望が多く、今回LP初出のピアノ協奏曲も含み完全限定生産で発売いたします。
 BOX盤のメタル原盤はすでに破棄されておりますので、今回新たに、オリジナルアナログマスターを使用しリカッティングいたしました為、面割及び音質はBOX盤と異なります。
 今回のメタル原盤もプレス終了後破棄され、カラヤンのアナログディスクは今回で最終プレスとなる完全限定盤です。

(キングインターナショナル)


【このたび、キングから最終在庫が入荷いたしました。】

ベートーヴェン/交響曲第1番&第3番「英雄」
TFMCLP1029/30 2LP


1977年11月13日 ライヴ録音

ベートーヴェン/交響曲第2番&第8番
TFMCLP1031/32 2LP


1977年11月14日(第2番)、17日(第8番) ライヴ録音

ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」&第5番「運命」
TFMCLP1033/34 2LP


1977年11月16日 ライヴ録音


ベートーヴェン/交響曲第4番&第7番
TFMCLP1035/36 2LP


1977年11月15日 ライヴ録音

ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」
TFMCLP1037/38 2LP


1977年11月18日 ライヴ録音

初LP化!
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番&第5番「皇帝」
TFMCLP1039/40 2LP


1977年11月14日(第3番)、17日(「皇帝」) ライヴ録音


【演 奏】
  ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  アレクシス・ワイセンベルク(ピアノ/11月14、17日)
  バーバラ・ヘンドリックス(ソプラ/11月18日)
  ヘルイェ・アルゲルヴォ(アルト/11月18日)
  ヘルマン・ヴィンクラー(テノール/11月18日)
  ハンス・ゾーティン(バス/11月18日)
  プロ合唱団連合、東京藝術大学合唱団
  (田中信昭(合唱総指揮)/11月18日)

【録音場所日時と場所】
  1977年11月13〜18日/東京・普門館

【録音方式】
  ステレオ(ライヴ)

【仕様】
  180g重量盤

【価格】
  各14,688円(税込)



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特集オットー・クレンペラー

オットー・クレンペラー レコード・ライブラリー
オットー・クレンペラー

 戦中・戦後と不遇を極めていた指揮者のオットー・クレンペラー(1885-1973)が、ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団を初めて指揮したのは1951年のことでした。
 翌年、EMIとレコード契約を交わし、1954年からスタジオ録音が開始されました。このとき、クレンペラーは69歳。契約を実現させたのはEMIのプロデューサー、ウォルター・レッグでしたが、レッグは当初、クレンペラーではなく、ヤッシャ・ホーレンシュタインをフィルハーモニア管に招きたいと考えていたそうです。
 クレンペラーとフィルハーモニア管の録音は、1954年10月、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」からスタートしました。最後のスタジオ録音は1971年9月で、奇しくも再びモーツァルトが演奏されました。曲はセレナードの第11番です。クレンペラーとフィルハーモニア管の録音は、モーツァルトに始まり、モーツァルトで終わったのです。
 クレンペラーのレパートリーは、独墺系の主要作曲家をほぼ網羅しています。J.S.バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームス、マーラー、R.シュトラウス。そこに、ベルリオーズ、フランク、チャイコフスキー、ドヴォルザークといった周辺国の作曲家の交響曲が加わります。
 こうした作品をクレンペラーは“不変の哲理”でもって指揮しました。“押し切った”と言ってもいいでしょう。それらは総じて「遅く、重く、暗い」演奏ですが、子細に聴くと、楽曲の構造・骨格が明確に浮かび上がり、全ての音にアクセスできる、そんな演奏でした。特に、スピーカーのセンターに現れる木管楽器群の鮮明さは、ちょっと異様なくらいです。
 以下では、クレンペラー自身の主要レパートリーに関する「発言」を引用しながら(必要に応じて、筆者の私見も交えつつ)、「ドイツの偉大で豊かな伝統の最後の相続人」(ブーレーズ)の遺産を俯瞰したいと思います。

●J.S.バッハ
 クレンペラーにとってJ.S.バッハは、際立って重要な作曲家でした。それは残された発言からもうかがい知ることができます。
「バッハの作品は、何世代もの間演奏されませんでしたが、再評価されてからは、既存の全ての作曲家たちの作品が彼の偉大さゆえに埋もれてしまいました。この地球が滅びるまで、バッハは音楽の財産であり続けるでしょう」
 クレンペラーのバッハ演奏のなかでも傑出した評価を得ているのが《ロ短調ミサ曲》です。
「私にとってバッハの《ロ短調ミサ曲》は、これまで書かれた中で最も偉大で比類のない音楽である」
 クレンペラーは「自分の録音を聴くのは好きではない」と言います。しかし――
「ただひとつだけ例外があって《ロ短調ミサ曲》のキリエはくりかえし聴いています。この曲は大好きなので、自分の録音を聴くのでも楽しんでいます」(ピーター・ヘイワース編『クレンペラーとの対話』)
 恣意的な解釈・演奏を嫌うクレンペラーの姿勢は、バッハにも透徹されています。
「バッハはどう解釈されるべきか尋ねられたとすれば、こう応えるだろう。『できるかぎり単純に』と。簡素な解釈こそ常に最上のものだ」
・管弦楽組曲(全曲) ※1954年(モノラル)録音と1969年(ステレオ)録音あり
・ブランデンブルク協奏曲(全曲)
・ミサ曲 ロ短調
・マタイ受難曲

●ヘンデル
 クレンペラーがレコーディングしたヘンデルと言えば、何はさておき《メサイア》です。これは例によってスケールの大きな演奏であり、今もって同曲を録音する指揮者に対し巨大な壁となっています。
・オラトリオ《メサイア》

●ハイドン
 1960年代を中心に、クレンペラーはハイドンの後期交響曲を断続的に録音しており、それらはいずれも恰幅のいい名演となっています。
・交響曲第88、92、95、98、100、101、102、104番

●モーツァルト
 クレンペラーは、自身のパーソナリティとは裏腹に、モーツァルトの音楽を愛していました。彼の発言を拾っていくと、モーツァルトに向けられた眼差しは、非常に深いものであることが分かります。
「モーツァルトのテーマにはしばしば死や暗闇が取り上げられている。彼は単なる快活な天才ではなく、それ以上のものなのだ」
「彼は三十六歳という若さで死んだ。その短い生涯において、安らぐ時間はほとんどなかったと言えよう。彼の開いた演奏会は、フランスでもドイツでも経済的にはほとんど成功せず、常に貧乏であった。綺麗な衣服を欲しがったが、金がない。彼はコンスタンツェ・ヴェーバーを愛し妻としたが、彼女は一緒に暮らす夫の真の価値を理解していなかった。モーツァルトは貧困のうちに死んだのだ」

 クレンペラーはモーツァルトの“四大オペラ”を全て録音しました。それらは非常にテンポの遅い、極めて個性的な演奏であり、収録から半世紀近くが経った今でも、異端視する向きと熱烈な支持とが伯仲する“問題作”です。
「(ある劇場での歌劇《コシ・ファン・トゥッテ》の初演に際し)なぜこの作品はこんなに美しいところを持っているのに、ここでは今まで聴くことがなかったのか、と。その原因はこの作品が持つ途方もない難しさである。この作品はその純化され洗練された精神性によって、モーツァルトの創作の中でも全く特別の地位を占めているのだ」
「モーツァルトの《魔笛》は想像を絶するほど壮大な作品である」「《魔笛》の録音は劇中の台詞を含めないのが正しいと確信しています。不滅の音楽がこの作品に意味を与えているのであって、レコードでは台詞は余計なものになります」
「《ドン・ジョヴァンニ》はオペラの中のオペラである。これはモーツァルトのオペラのみならず、彼の全作品中の頂点である」

・交響曲第25、29、31、33、34、35、36、38、39、40、41番
・セレナード第6、11、12、13番
・ピアノ協奏曲第25番 ※ピアノ:ダニエル・バレンボイム
・ホルン協奏曲(全曲) ※ホルン:アラン・シヴィル
・歌劇《フィガロの結婚》
・歌劇《ドン・ジョヴァンニ》
・歌劇《コシ・ファン・トゥッテ》
・歌劇《魔笛》

●ベートーヴェン
 クレンペラーのベートーヴェンに対する揺るぎない敬意は、彼のレコードとして見事に結実しました。今日、数多の交響曲全集を見ても、フィルハーモニア管の合奏力、ナチュラルなEMI録音、そして何よりも骨太で微動だにしない解釈・指揮という点において、クレンペラーのベートーヴェン全集に比肩するものはない、というのが筆者の考えです。
 ベートーヴェンの没後100年にあたる1927年、クレンペラーは彼らしい発言を残しています。
「ベートーヴェンについては何を言うことがありましょう。彼は天才です。(中略)もしあなたが、ベートーヴェンの没後百年に何をすればいちばんよいかと尋ねたら、こう答えるでしょう。彼の音楽を一年間演奏しないことだ、と」
 《第九》《ミサ・ソレムニス》といった声楽を含む大曲や歌劇《フィデリオ》は、クレンペラーの独壇場といっても過言ではないでしょう。
「何が言えるというのです。《第九》について話すなんて畏れ多いことでしょう。曲を聴かなければなりません。ベートーヴェンは、自分が言うべきことを全て音楽の中に込めています」
「《フィデリオ》は、ベートーヴェンが生んだ唯一のオペラであるだけでなく比類のないオペラである。モーツァルトの《後宮からの誘拐》と《魔笛》の後に続くべきものである」

・交響曲(全曲)
・ピアノ協奏曲(全曲)
・ヴァイオリン協奏曲 ※ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン
・ミサ・ソレムニス
・歌劇《フィデリオ》

クレンペラーレコード

●シューベルト
 シューベルトでは、網羅的な録音は行なわれませんでした。しかし、《未完成》などは、晩年、ウィーン・フィルやバイエルン放響とも演奏しており、愛着のある曲だったと思われます。
・交響曲第5、8、9番

●メンデルスゾーン
 クレンペラーの《スコットランド》や《真夏の夜の夢》が、古今東西を通じて、同曲の屈指の名演であることは、衆目の一致するところでしょう。クレンペラーはメンデルスゾーンを十八番にしていました。
・交響曲第3、4番 ※交響曲第3番《スコットランド》は入手難
・劇音楽《真夏の夜の夢》 ※入手難

●シューマン
 シューマンは、1960年の交響曲第4番とピアノ協奏曲を皮切りに、《春》、第2番、《ライン》の順で収録されました。なかでも交響曲第4番は、クレンペラーには珍しく早めのテンポを採用し、推進力に富んだ力演に仕上がっています。
・交響曲(全曲)
・ピアノ協奏曲 ※ピアノ:アニー・フィッシャー。入手難

●ワーグナー
 「クレンペラーが指揮するワーグナーをもっと聴きたかった」というのは、ワグネリアンの叶わぬ願いです。いやむしろ、《オランダ人》と《ワルキューレ》第1幕といった超弩級のレコードが残されたことを幸甚とするべきなのかもしれません。なお、《オランダ人》においてクレンペラーは、最後に出てくる「救済のモティーフ」をカットした「ドレスデン版」を採用しています。
「ワーグナーの力強い音楽的天才を否定するのは笑うべきスノビズムです。彼がオペラを変革するために用いた台本は、今日の私たちにはあまりに誇張したものに思われますし、長すぎるそのオペラをカットなしに我慢するのは容易なことではありません。それでも音楽家ワーグナーは天才であり、その意義はなんら揺らぐことはありません」
・歌劇《さまよえるオランダ人》(全曲)
・楽劇《ワルキューレ》第1幕
・ワーグナー管弦楽曲集(ジークフリート牧歌、ほか)

●ブルックナー
 クレンペラーの遺産のなかで“名と実”が一致していないのがブルックナーではないでしょうか。冷静に考えて、インテンポな演奏を先天的に要求するブルックナーのシンフォニーに、クレンペラーのスタイルが合わないはずはないのです。特に第5、6、7番などで聴かれる峻厳な響きは、チェリビダッケやヴァントを愛聴している方にも、ぜひ聴いていただきたいです。なお、クレンペラーが第8番に施した冷徹な処置に関しては、下記のコメントを参照してください。
「ブルックナーの第八交響曲の終楽章ではカットを行った。作曲者はここで音楽のアイデアを盛り込み過ぎたように思えたからだ」
・交響曲第4、5、6、7、8、9番 ※交響曲5、7番は入手難

●ブラームス
 ブラームスのシンフォニーの録音は、クレンペラーとフィルハーモニア管がかなり早い時期に取り組んだため(1956、57年)、一つの幸運に恵まれました(ある意味、「不幸」と言うべきかもしれませんが……)。それは、ホルンのトップをあのデニス・ブレイン(1921-57)が吹いているということです。この点だけをとっても、一連の演奏は敬聴に値すると言えましょう。
・交響曲(全曲)
・ヴァイオリン協奏曲 ※ヴァイオリン:ダヴィット・オイストラフ、管弦楽:フランス国立放送管弦楽団。入手難
・アルト・ラプソディ
・ドイツ・レクイエム

●マーラー
 クレンペラーは、マーラーの愛弟子でした。マーラーから多くのことを学び、マーラー音楽の“布教”にも従事しました。
「彼の音楽は存続するだろうか。誰もその答えはわからない。だが、私は第二、第九交響曲と歌曲は残るのではないかと思う」
「(今後もマーラーの音楽を)あらゆる機会をとらえて演奏していきます」

 こうして残されたレコードがどれも各曲のファースト・チョイスであることは言を俟たないでしょう。
「(《復活》について)この曲はマーラーの交響曲の中でも最も葬儀に相応しいものです」
「《大地の歌》の終楽章は〈告別〉と名づけられていますが、それは彼自身の生への告別であり、内容はとても衝撃的なものです。最後には次のような言葉が響きます――『私は行って山の中を彷徨う。孤独を慰めるために』」
「(交響曲第9番について)これはマーラーが完成した最後の交響曲である。私はこの曲を彼の究極の、また最も偉大な業績であると思う」

 ただ、1枚だけ注意を要するレコードがあります。交響曲第7番です。
「(交響曲第7番について)私には今でもなお、最初と最後の部分は非常に問題があると思われるのだが、三つの中間楽章はその簡潔さによって魅力的なものになっている」
 (以下は、完全な「私見」としてお聞きいただきたいのですが……)同曲を“音楽的に”愛する人は、クレンペラーのレコードを聴くべきでないかもしれません。なぜなら、あまりに独自過ぎて、完全に楽曲のオリジナリティを超越(破壊?)しているからです。特に、クレンペラー自身、「非常に問題がある」と言っている両端の楽章においてその傾向が著しく、最終楽章に至っては、冒頭の「ダンダダダンダン」というティンパニのリズムからして、「異常」としか感じられないのではないでしょうか。しかし、そうであるがゆえに(全く逆説的な言い方ですが……)この演奏こそは、クレンペラーという長大な峰々のなかでも突出した高峰であり、これを抜きにクレンペラーを語ることはできない、と確信するのです。
・交響曲第2、4、7、9番、《大地の歌》 ※交響曲第7番は入手難

●R.シュトラウス
 マーラーに師事していた(そしてユダヤ人であった)クレンペラーにとって、人間R.シュトラウスは純粋なシンパシーを抱き得る人物ではなかったのかもしれません。しかし残された演奏は、クレンペラーの哲理が貫かれた秀演ばかりです。
「一九三二年頃、彼をガルミッシュに訪れたことがある。次のシーズンに《英雄の生涯》と《ばらの騎士》を指揮しなければならなかったので、いくつか難しい箇所について助言を求めるためであった。しかし彼はそれにはほとんど答えず、自分が指揮する時も、そこがうまく行けば嬉しいと言っただけだった」
・交響詩《死と変容》 ※入手難
・交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》
・交響詩《ドン・ファン》
・交響詩《メタモルフォーゼン》 ※入手難

●ベルリオーズ
 これは類を見ない《幻想》です。「唯我独尊」と言ってもいいでしょう。ミュンシュなどに代表される直情的な演奏の対極に位置しています。特に、スローモーション(「ストップモーション」と言うべきか?)を見るかのような「断頭台への行進」、それに続く「ワルプルギスの夜の夢」では、ただただ感嘆するしかない“音の絵巻”が繰り広げられます。
・幻想交響曲 ※入手難

●フランク
 「重厚」とはクレンペラーのためにある形容ですが、この「遅く、重く、暗い」フランクは、まさにクレンペラーの真骨頂と言えるでしょう。
・交響曲 ニ短調

●チャイコフスキー
 チャイコフスキーについては、賛否両論あるはずです。チャイコフスキーをチャイコフスキーたらしめている“センチメンタリズム”が、クレンペラーの芸風とは「水と油」のように感じられるからです。しかし、下記の発言からも分かるように、クレンペラーは確固たる信念をもってチャイコフスキーを指揮しており、どのレコードも一聴の価値があることに変わりはありません。
「私がチャイコフスキーを演奏するのは、それが良い音楽だからです。しかし、チャイコフスキーは指揮者のやりたい放題の犠牲になってきました。(中略)悪趣味は彼の音楽の中ではなく、それを演奏する人間の中にあるのです」
・交響曲第4、5、6番 ※入手難

●ドヴォルザーク
 ここでもまた独自の世界が構築されています。クレンペラーにとって「新天地アメリカ」など、どうでもよかったのかもしれません。異国情緒いっさいなし!  見渡す限り、高度に抽象化された交響世界が広がるばかりです。
・交響曲第9番 ※入手難

※クレンペラーの発言は、注記のない限り『クレンペラー 指揮者の本懐』(シュテファン・シュトンポア編)によります。

 以上、クレンペラーの主要なレコードを見てきましたが、「たった1枚、レコードを選ぶ」としたら、筆者は躊躇なく「マーラーの第7交響曲」を手に取るでしょう。物を書くとき「空前絶後」という言葉は一種の“禁句”ですが、この演奏に関しては「空前絶後」と評するしかありません。まさに「怪演」です。

 ベーレンプラッテのWebショッピングサイトでは、オットー・クレンペラーの「特集ページ」を設けています。皆さんも、ぜひ、クレンペラーの名盤の数々をご試聴いただけましたら幸いです。
(ベーレンプラッテ 藤田)

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レコード店店主の考えた、「究極の内袋」


  皆さんのレコード棚には、「久しく聴いていないレコード」が眠っていませんか? 
高温・多湿の状態で保管している場合は、非常に危険です。
 何が危険なのか?

レコードの「ビニ焼け」です。
 レコードをジャケットの内袋から引き出すと、盤の表面に半透明(白色)のマダラ模様ができていて、針を落とすと「ボソボソ」というノイズが出る! これが「ビニ焼け」(ビニール焼けという現象で、こうなってしまったレコードは、いくらクリーニングしても絶対に元には戻りません。いったい、何が起こったのでしょうか?

 原因は、レコードが入っている「内袋」にあります。昔の内袋には、(アンチブロッキング剤など)様々な添加剤が配合されたものがありました。そうすることで、静電気を抑えたり、摩擦を少なくしてスベリを良くしたり、レコードと内袋との密着を防ぐことができました。身近な例を挙げますと、一部の「ポリ袋」にも添加剤が配合されており、口が開きやすくなっています。ただ、レコードに関しては悪影響のほうが大きいと考えられ、添加剤が配合された内袋にレコードを数年間入れたまま(空気に触れない状態)にしておくと、添加剤が浮き出てきて盤面に固着してしまいます。レコードコレクターの“天敵”「ビニ焼け」は、こうして発生するのです。


(ポリエチレン製の袋に入ったレコード)

(赤く囲った部分がビニ焼け)

 では、「ビニ焼け」を防ぐ方法はあるのか? あります。内袋を新品のものと交換するのです。
 理想的な内袋としては、グラシン紙を使った内袋をお勧めします。グラシン紙は、トレーシングペーパー、ケーキの底紙、薬包紙、書籍のカバー、タバコの内包装などに使用されている高級紙で、表面が滑らかで光沢があり、静電気が発生しにくく、高い防湿性・防カビ性を備えています。こうした特長から、レコードの内袋にはグラシン紙が最適である、と言われています。

 そこで、ベーレンプラッテの店主は、リーズナブルな価格の内袋の開発を始めました。いままであったグラシン紙の内袋は、あまりコストパフォーマンスに優れなかったからです。
 というのは、紙製の内袋はほとんど手作りだったのです。この内袋も、ほとんどの工程は手作業ですが、数回の試作で工程を徹底的にシンプルにしたため、価格を従来品よりも、20パーセントほどダウンすることができました。
 また、ルックスも高級感があり、購入された方からも、「内袋を交換したら、30年以上前のレコードが立派になった気がする!」ご好評をいただいております。


(ベーレンプラッテのオリジナル「グラシン紙製」レコード内袋)

(大切なレコードの保存に適しています)

(高級感のある内袋)

(レーベル部分も見やすいよう、工夫されています)

大切なレコードをいつまでも、という
店主のポリシーから生まれた
究極のレコードアクセサリーです!


<BPオリジナル グラシン紙内袋>
BPG-25(25枚セット)     価格: 4,500円(税込)
BPG-50(50枚セット)     価格: 8,640円(税込)
BPG-100(100枚セット)  価格:16,200円(税込)

お申し込みは、こちらから


季刊「アナログ」誌44号で、当店オリジナル「グラシン紙内袋」が紹介されました。

一枚、一枚、手作りです。













店主のブログ「LP日記」にて、
「BPオリジナル グラシン紙内袋製造工場見学」公開中!
こちらも是非、ご覧ください!


店主は語る


ベーレンプラッテのレコードはココが違う!
〜最高の品質をお届けする“仕入れ、洗浄、発送”〜


 ベーレンプラッテでは、現時点で考え得る最高品質のレコードを、1枚1枚、手間と愛情をかけて送り出している。ここではその“こだわり”の一端を紹介したい。


厳選・吟味したレコード

Q レコードの入手方法は?
店主 ベーレンプラッテの全てのレコードは、店主やスタッフがヨーロッパに直接買い付けに行って仕入れてきます。購入時は、現地のレコードショップやコレクターにレコードを1枚1枚見せてもらいながら、盤質やジャケットの状態をチェックして、ミントからニアミント・コンディションのレコードを厳選していますので、「ひと山、いくら」といった買い方はしていません。新しく制作された新品レコードを除いて、日本国内で流通しているレコードや、かつての国内盤は取り扱っていません。



(ヨーロッパでのLP買付風景)


(ヨーロッパから届いたレコードが入った箱)


Q 米盤の取り扱いは?
店主 米盤にも魅力的なレコードはたくさんありますが、基本的には取り扱っていません。なぜかと言いますと、ヨーロッパとアメリカでは、レコードの取り扱いに対する意識が異なっているからです。アメリカの人は、そもそもレコードを“コレクションの対象”とは考えていなかったようで、音楽評論家の黒田恭一氏がどこかで書いていたのですが、黒田氏が米盤の新品レコードを開封したら、レコード盤にタバコの灰が付いていた(!?)なんてこともあったようです。一方、ヨーロッパにはモノを大切にする文化が根付いていますので、レコードの取り扱いや、レコードの作りそのものがとても丁寧だと思います。

Q ヨーロッパのレコードが「単行本」だとしたら、アメリカ製は「雑誌」みたいな感覚でしょうか?
店主 そんな感じですね。もちろん、米盤で聴くことのできる演奏には大変優れたものがありますし、優秀録音もたくさんありますが、ベーレンプラッテにはコンディションの良いレコードを求めるお客様が多いので、今のところ米盤の取り扱いは限られています。

Q ヨーロッパのレコードを取り扱うようになった、そもそもの理由は?
店主 私がベーレンプラッテを始める以前、コレクターだった頃は、ヨーロッパから直輸入されたレコードを主に聴いていました。その後、これもレコードショップを始める前のことですが、ヨーロッパに行った時に買って持ち帰ったレコードと、日本で購入した直輸入盤のレコードとを聴き比べると、「音質が若干違うのではないか?」と感じるようになりました。
 その原因を推測しますと、レコード会社がヨーロッパ市場向けに製造するレコードと、ヨーロッパ以外の地域(日本やアメリカ)に輸出するレコードとでは、「レコード盤の材質を少し変えているのではないか」という話を耳にしたことがあり、個人的にも「あり得ることだ」と考えています。
 一例を挙げますと、Deccaのレコードは、かつて日本やアメリカではLondonというレーベル名で販売されていましたが、当時から「イギリスで同じスタンパーを使ってプレスされているのに音が違う」と言われていました。実際、比較してみると、音の立ち上がりですとか、明瞭度の点で差を感じます。グラモフォンのレコードも、ヨーロッパ向けのレコードと直輸入盤とでは、わずかですが音が違っていると思います。こうしたことが起こる要因は、レコード盤の材料の違いではないか、ということです。
 では、なぜ材料を変えていたのか? これも推測になりますが、昔はレコードを輸出する際に“船便”を利用していました。そうなると、夏に輸送する場合や、暑い航路を通ったりする際、“熱”に対する配慮が不可欠になります。つまり「品質管理」の面から、製造段階で材料の混合比を変えていたのではないか、ということです。


(DECCAとLondon)


(「import」シールの貼られたDGGのレコード)


なぜ、レコードを洗浄するのか

Q レコードは全て洗浄しているそうですが、その理由は?
店主 主な理由が2つあります。1つは、レコードは製造されてから短くて約30年、長いものでは半世紀以上経っています。よって、レコードの溝には微細なゴミやチリが詰まっていたり、時にはカビが生えていることもありますので、それらを落とすためにクリーニングを行なっています。不純物を取り除くことで、再生時のノイズを減らすことができるのです。
 もう1つの理由は、クリーニングすることによって「音質を向上させる効果」があります。レコードを洗浄すると、洗浄前と後で確実に音が変わります。具体的には、音の明瞭度が上がって、鮮明になります。それから、表現がむずかしいのですが、「音楽の“抑揚”がわかりやすくなる」という印象を受けます。ただ、これは非常に感覚的な話ですし、スペアナなどで測定しても変化は確認できないかもしれません。
 こうした改善効果は、不純物を取り除くことでノイズが減るのとは、全く別のものです。以前、個人的に実験したことがあるのですが、新品のレコードや未開封盤を試聴したあと、すぐにクリーニングを行なって再試聴してみたら、やはりその時も音質が改善されました。
 なぜ、そんな不思議なことが起こるのでしょうか? 原因を推測しますと、レコードには例えば、製造時にスタンパーからレコード盤を剥がしやすくするための「剥離剤」に類するものや、静電気などを抑える薬品などが塗られている可能性があります。クリーニングにより音質が向上する要因は、盤上に“ヴェール”にように付着しているものが、洗い流されるためではないでしょうか。
 かなり昔になりますが、オーディオ評論家の江川三郎氏の記事を読んだことがありまして、江川氏が新品のレコードを雑巾(!?)でゴシゴシ拭いていると、“抵抗感”がふと消える瞬間がある(=付着していたものが落ちる)、という話が載っていました。
 ちなみに、レコードを洗浄し終えたあとの「洗浄液」を観察すると、小さなゴミが混じった“沈殿物”のほかに、洗浄液全体が薄く白く濁っています。これはつまり、レコードの表面に付着していた何らかの物質が溶解して、洗浄液が白濁している、と考えられます。

Q どのような方法で洗浄するのですか?
店主 新品・未開封品を除く全てのレコードは、出荷前にキースモンクス社のクリーニングマンシンで洗浄します。この機械は、主に放送局で使用されていたものです。放送局で、どうしてクリーニングマンシンが必須なのかと言いますと、放送局には膨大なレコードが何十年にもわたって保管されています。そうしたレコードを洗浄するのが、クリーニングマンシンの役割です。あと、放送局には(テープ以外の)ガラスや金属盤に記録されたアーカイブが残されています。そうした貴重な「盤」を良い状態で保管するために、クリーニングマシンが開発されたということです。
 洗浄のメカニズムは、最初に盤面に洗浄液をかけ、非常に繊細なブラシでレコードの溝に溜まった不純物を掻き出します。そして、洗浄液が乾く前に、素速く不純物が含まれた洗浄液をバキューム(吸引)します。

Q 八百屋で買った野菜を食べる前に洗うのと同じように、レコードも聴く前に洗った方がいいのですね(笑)。
店主 はい。そうされることをお薦めします。


(キースモンクス社のクリーニングマンシン)

(盤面に洗浄液をかける)

(目の細かいブラシで溝に溜まった不純物を丁寧に掻き出す)

(即座に不純物が含まれた洗浄液をバキュームする)
(クリーナー後の白濁した洗浄液)


内袋も新品に

Q 洗浄後は、レコードを入れる内袋も交換されるそうですね。
店主 はい。洗浄が終わったら、新品の内袋に取り換えます(もともとレコードが入っていた内袋も捨てたりはしないで、同梱してお客様にお送りしています)。
 内袋を交換する理由は、古い内袋にはゴミやホコリが付着していますので、それらを除くためです。もう1つは、レコード用に使用されていた半透明のポリエチレン製の内袋には、レコードを重ねた時に“密着”を防ぐ目的で「アンチブロッキング剤」が配合されています。そして、長期間、内袋からレコードを出さないまま(空気に触れない状態)にしておくと、このアンチブロッキング剤が内袋の表面に浮いてくる「ブリード現象」が発生します。この表面に出てきたアンチブロッキング剤がレコード盤に固着してしまうのが、あの「ビニ焼け」という現象なのです。内袋を交換することで、ビニ焼けを防ぐことができます。


(「新品」の内袋)

(「ポリエチレン製」の内袋)

(レコードのビニ焼け〜赤く囲った部分〜)

Q 洗浄によるデメリット、リスクはないでしょうか?
店主 基本的にはありません。ただ、レコードを洗浄すると、ゴミやチリが浮いてきて、それらをバキュームすればいいのですが、ごくまれに、溝の中に“粒状”に挟まった状態で不純物が残ってしまうことがあります。もちろん、確率的には大変低く、200〜300枚に1枚くらいです。
 この状態でレコードをかけると、バチッという大きなノイズが発生して、針が飛んだり、そこから先に針が進まなくなったりします。もし、盤面にいわゆる“傷”が付いているなら、その付近に来るたびにパチパチという周期的なノイズが聞こえるか、斜めに溝をまたぐような深い傷が入っています。一方、洗浄後にも残ってしまった不純物により突発的なノイズが発生する時は、盤面を子細に観察すると、小さな点のような突起が見えるはずです。こうした不純物は“十中八九”除去できますので、無理に取り除こうとしないで、レコードを返送していただければ、当店で責任を持って除去・再洗浄します。



輸送時の事故を防ぐオリジナル段ボール

Q レコードを梱包・発送する「段ボール」も工夫されているということですが、どのような段ボールを使っているのですか?
店主 ベーレンプラッテでは、段ボール業者と協同で開発したオリジナル段ボールにレコードを梱包して出荷しています。この段ボールの四隅には衝撃を吸収するための“ツバ”が付いていますので、万が一、運送時に落下事故などが発生しても中のレコードが破損することはありません。
 また、宅配業者は、お客様から特にご指定のない限り、ヤマト運輸を使っています(もちろん、他の宅配業者も指定可能です)。

 




(ツバ付段ボール)


(聞き手:藤井 洋)


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BPkuma

“長岡鉄男は永久に不滅です”

『長岡鉄男の外盤A級セレクション』小考



 オーディオ評論家の長岡鉄男(1926-2000)氏が亡くなられて、早いもので13年が過ぎましたが、死後もその人気は衰えず、この夏には『長岡鉄男の外盤A級セレクション1』(共同通信社)が復刊されました。
 今回は、『外盤A級セレクション1』と同著で紹介されているレコードについて、ご案内したいと思います。

 長岡氏は、『外盤A級セレクション1』の巻頭で自身が注目している5つのレーベルを挙げ、その特徴を簡単に解説しています。5つのレーベルとは、「Astree」(フランス)、「BIS」(スウェーデン)、「Everest」(アメリカ)、「Harmonia Mundi」(フランス/ドイツ)、「Nonesuch」(アメリカ)です。
 各レーベルの録音の特徴を述べた部分を引用してみましょう。

●Astree 「深み、厚み、艶が抜群、力感もあり特にアブラっこさはナンバーワン」
●BIS 「録音もA級、超A級目白押し」「録音はマイク2〜6本が標準で、(ジャケットのデザイン同様に)音色的にも仏Harmonia Mundiと似ている」
●Everest 「録音はまさに玉石混淆で、概して石が多いが、時々ルビーやダイヤが見つかる」
●Harmonia Mundi 「独Harmonia Mundi」は「音質としてはハードでシャープでクール、ハイ上がりのものが多い。一方、「仏Harmonia Mundi」は「厚み、豊かさ、艶が特長、概して少数マイクによる音場録音が多く、雰囲気がよく再現される」「切れ込み、エネルギー感が凄いというのも特長で、A級、超A級の優秀録音目白押しだ」
●Nonesuch 「古楽と現代音楽の中にはA級、超A級の優秀録音盤が多く(……)」

※「仏Harmonia Mundi」と「独Harmonia Mundi」に関しては、「まったく別のレーベルと考えたほうがよい」と付言しており、推薦盤の数やコメントから察するに、長岡氏は「仏Harmonia Mundi」により強い愛着を感じていたようです。

Astreeがナンバーワン!
 さて、ここで『外盤A級セレクション』の1〜3巻で紹介された300枚のレコードを、数字の面から見てみたいと思います。長岡氏が取り上げた300枚のなかで、もっとも推薦盤が多かったレーベルはどこでしょうか? 答えは「Astree」で、実に21枚に及びます。次に「仏Harmonia Mundi」と「Nonesuch」が同数で並び、17枚。第4位が、現代音楽を専門とするドイツのレーベル「Wergo」で15枚。そして第5位は「Erato」(フランス)と「Philips」(オランダ)が同数の12枚となっています。
 また、300枚のなかで10枚以上がセレクトされたレーベルは上記の6社に限られ、長岡氏が注目レーベルに挙げた「BIS」や「Everest」、メジャーレーベルである「EMI」(イギリス)、「Decca」(イギリス)、「Grammophon」(ドイツ)、そして優秀録音を売り物にしている「Telarc」(アメリカ)や「ECM」(ドイツ)などは、残念ながら10枚以下にとどまっています。
 仮に「Astree」「仏Harmonia Mundi」「Nonesuch」「Wergo」「Erato」「Philips」を、長岡氏の「6大レーベル」とすると、Philipsを除く5つのレーベルは、古楽もしくは現代音楽を守備範囲とする(『外盤A級セレクション1』が発刊された当時としては……)マイナー・レーベルと言えるでしょう。実際、氏は「外盤で一番面白いのはマイナー・レーベルだ」と公言しており、その理由として「マイク2本にデッキ1台というのが多い。実はこれが最大の魅力」と語っています。さらに「マイナーな曲をマイナーなアーティストが演奏したレコードで、録音が悪かったらだれひとり買おうとしない。だから録音には気を使う」と看破するあたりは、「さすが長鉄! 明快だ」と思わず膝を打ちたくなります。

まだまだある!?
A級、超A級の優秀録音盤

 ここで、一つ留意しておきたいのは、長岡氏は「演奏や音楽の好みではなく、あくまでも“録音”の良し悪しでレコードを選んでいる」といったことを再三述べているのですが、実際にはそうとも言えないのではないか……と思われる点です。
 例えば、推薦枚数トップの「Astree」には、ピアニストのパウル・バドゥラ=スコダのレコードが数多くあります。スコダは、ご存じの方も多いでしょうが、フリードリヒ・グルダ、イェルク・デームスとともに「ウィーン三羽烏」の一人として活躍した名手で、演奏も大変素晴らしいものばかりです。長岡氏がこうしたレコードを選んで聴いているところを見ると、実は、氏は「演奏の良し悪しを判断できる、優れた審美眼を持っていたのではないか?」とも思えてくるのですが、皆さんは、どのようにお感じでしょうか?

 過日、ベーレンプラッテの店主と話しているとき、店主がとても興味深い指摘をしました。長岡氏は『外盤A級セレクション1』で、盲目の鍵盤楽器奏者、ヘルムート・ヴァルヒャの「J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集」のレコードを紹介しているのですが、その文中で「頭の中で音楽が鳴っていて、それを追いかけて指が動いているという印象を受けた」と書いています。この箇所を読んだ店主は「長岡氏は、ヴァルヒャは盲目であったことを知っていたのだろうか? 知っていたならそう書くだろうが、その記述はない。もし知らないで書いていたとしたら、長岡氏の耳あるいは感性は、大変なものではないか」と言うのです。
 長岡氏に直接、真相を確かめることができない今、我々自身が推察するしかありませんが、少なくとも、「長岡氏が残した発言、そして彼が推薦したレコードには、まだまだ組めども尽きぬ鉱脈が隠されている」と言えるのではないでしょうか。
 ちなみに「Astree」には、『外盤A級セレクション』に掲載された以外にもスコダのレコードがたくさんありますが、それらのレコードが氏の推薦盤と比べて「極端に音質が劣る」とは考えにくく、『外盤A級セレクション』の“周囲”には「隠れたA級、超A級の優秀録音盤」が眠っている、そんなことも言えそうな気がします。この点に関しては、長岡氏も「外盤選びは、いくらがんばったところでひとり人間のやることだから限界がある。おそらく筆者が見落としている名盤、珍盤が数多くあるのではないか」と謙虚に述べています。
 今後、『外盤A級セレクション』に比肩する優秀録音盤を発掘していく作業は、我々に託された課題なのかもしれません。そして末永く、すばらしいレコードとの出会いを心待ちにしながら、ミュージックライフを楽しんでいきたいものです。
 ベーレンプラッテのWebショッピングサイトでは、『外盤A級セレクション』で紹介されたレコードの「特集ページ」を設けています。
 皆さんも、ぜひ、優秀録音の宝庫「長鉄セレクション」をご試聴いただけましたら幸いです。(ベーレンプラッテ 藤田)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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