アンリ・オネゲルのブラームス/チェロ・ソナタ第1、2番
仏VALOIS MB772 疑似ステレオ

ブラームス/チェロ・ソナタ第1番、第2番
アンリ・オネゲル(チェロ)
ノエル・リー(ピアノ)
プレス国 フランス
レーベル 紫レーベル
コンディション
レコード 良好です(MINT~NEAR MINT)
ジャケット 良好です(取出口中ほどに小さな傷みあり)
1962年、コペンハーゲンでの録音です。優秀録音。
チェリスト、アンリ・オネゲルとピアニスト、ノエル・リーによるブラームスのチェロ・ソナタ全集は、20世紀スイス=フランス知性派音楽の美学を体現した、極めて特異な名演として知られています。本盤は、そのモノラル原盤をもとに制作された疑似ステレオ盤、Valois MB 772。左右に音像を人工的に振り分けることで、チェロとピアノの分離を明瞭にし、室内楽としての構造を立体的に提示した一枚です。
本来は中央に凝縮する音像が、疑似ステレオ処理によって左右に展開されることで、ピアノのハンマーの動き、チェロのボウイングの軌跡が視覚的とも言えるほど明確に浮かび上がります。その一方で、音の芯の密度や位相の安定感では真のモノラル初出盤に一歩譲るものの、聴感上の広がりと分解能の高さという独自の魅力を備えています。
オネゲルのチェロは甘美なロマン性を極力排し、音程、和声、構築美を冷静に描き出す即物的な奏法。リーのピアノも感情過多を避け、作品の骨格を丹念に彫刻するように進みます。疑似ステレオ化によってこの二つの声部が空間的に分離されることで、ブラームスの対位法的構造がより明確に聴き取れる点も、この盤ならではの聴取体験と言えるでしょう。
加えて、Valoisらしい洗練されたジャケット・デザインも大きな魅力です。フランス中小レーベル黄金期の美意識を色濃く残す本盤は、演奏・音響・造形の三位一体で楽しめる知的コレクターズ・アイテム。
モノラル原盤とは異なる角度から、この異色のブラームスを味わいたい方におすすめしたい一枚です。
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店主:金子 学












