古楽器オケであるコレギウム・アウレウムのメンバーにより構成される、コレギウム・アウレウム四重奏団によるベートーヴェンの15番op.132。何となく良さそうだと思って購入した。第1ヴァイオリンはガルネリを、第2ヴァイオリンはアマティを、ヴィオラはグランシーノを、チェロはガグリアーノを弾いている。古い楽器ばかりで、カルテットの響きに調和が取れている。
第1楽章は荘重な感じで始まる。優美な悲痛さといったものが良く表現されている。深い感情表現が出来ている。第2楽章は落ち着いた優雅さが良く出ている。丁寧さが目立つ演奏である。第3楽章は深い祈りの表現に打たれる。神への謙虚な愛に満ち溢れている。長く持続する歌が見事である。ここまで透徹した演奏はなかなか出来るものではない。第4楽章は明るいが、元気良さよりはやはり落ち着きを感じさせる。第5楽章は抑制された哀しみが心にしみる。深さを持った歌心がある。全曲聴き終わった後に、しみじみとした感動が残る。
録音は残響が長めで、どこか神秘感がある。個々の楽器よりはカルテット全体を捉えようという意図が感じられる。
総じて、演奏も録音も優秀と言える。あまり頻繁には聴いていないが、時に非常に聴きたくなる。こんな良いレコードに出会えて良かったと思っている。