ベートーヴェンのラズモフスキーの3曲は、普段バリリとウィーン・コンツェルトハウスをCDで愛聴している。世評の高いアルバン・ベルクは、どこか味わいに乏しいような気がして、ぴんと来ない。この3曲は好きなので、他にも凄い演奏に出会いたいものだと常々思っている。このイタリア四重奏団のセットは、ふと興味をひかれて買ってみた。
第1番は、雄大なスケールが良く表現されている。聴いていて楽しい。第2番は、深刻で厳粛な雰囲気に満ちている。「悲愴」ソナタに通ずる要素が良く表現されている。第3番は、躍動感に満ちており、聴いていて楽しい。メロディとリズムが高次元で融合された演奏である。
全体的に言って、イタリアの団体はドイツ系の団体に較べて、ベートーヴェンを演奏するのにハンデがあると思うが、この四重奏団は良く頑張っていると思う。確かな充実感に満ちた好演奏と言って良い。厳しさには少々欠けるが、優美さがそれをカバーしている。こういうベートーヴェンもあって良いだろう。これからも時に聴いていきたいと思う。